北洋銀行は2011年9月26日、全店舗の役職員やパートが利用するシステムを対象に5000台の仮想デスクトップ環境を構築すると発表した。既に構築に着手し始めており、2012年9月から順次利用を開始する予定だ。仮想デスクトップ環境を導入することで、顧客サービス向上、運用コストの削減、セキュリティ向上などを狙う。「構想策定に5年をかけた。当社にとって理想的なデスクトップ環境を構築する」と佐々木勉氏(北洋銀行システム部システム企画課主任調査役)は話す。

 職員の業務を効率化することで、顧客サービスの向上を実現する。新システムでは、1台の端末から複数の業務システムにアクセス可能になり、顧客の待ち時間短縮や、顧客への提案能力向上につながる。現状のシステムは、勘定系や情報系といった業務システムごとに利用端末が異なっており、職員が複数の端末を使用する際には席を移動する必要があるなど、顧客を待たせることがあった。

 運用コストについては「Windowsのサービスパックやセキュリティパッチの導入の作業費用などを減らすことで年間数千万円を削減できる」(佐々木氏)と試算している。最後のセキュリティ向上は、「端末の操作記録の集中管理」「シンクライアント端末の採用」「ウイルス対策の一括実行」の三つの施策で実現する。このほか、「Windows XPとWindows 7を混在させて利用できるメリットが大きい」(佐々木氏)という。クライアントOSのバージョンアップに伴う業務システムの動作検証や改修を避けられるためだ。

 仮想デスクトップ環境の構築には、米Citrix Systemsの「XenDesktop」を採用する。サーバーは日立製作所の「BladeSymphony」を使い、米Microsoftの仮想化ソフト「Windows Server 2008 Hyper-V」でハードの集約化を図る。SIは日立製作所が担当する。