富士通は2011年9月16日、ミドルウエアを中心とするソフトウエア事業の強化策を発表した。大量のデータを高速処理する「ビッグデータ」やクラウド関連の新商品を2011年度下期~12年度上期にかけ相次ぎ投入、手薄だった海外販売にも力を入れる。

 投入する新商品はビッグデータ向けクラウドサービスのほか、インメモリ・データベース(DB)、スマートフォン向けのアプリケーション実行環境などである。

 このうちビッグデータ向けクラウドは、分散バッチ処理用のオープンソフト「Hadoop」のほか、時系列に流れてくるデータを処理するCEP(複合イベント処理)用ソフトや、データ分析に用いるBI(ビジネス・インテリジェンス)用ソフト、アプリケーション実行環境、開発環境などミドルウエア群を集約した基盤「CSPF」を構築。これを「PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)」型クラウドサービスとして11年度下期から順次提供する。ビッグデータ向けミドルウエアをこれだけ広範に提供するのは世界で初めてという。

 オンライン決済処理やWebサイトの高速化に役立つミドルウエアの新製品群も投入する。11年下期に発売する分散キャッシュ用ソフト「Interstage XTP」(仮称)と、12年上期発売を予定するインメモリDBソフト「Symfoware Server」である。ともに富士通が東京証券取引所の証券取引シテム「arrowhead」向けに開発したインメモリDBソフト「Primesoft Server」の一部技術を採用しており、多くの利用者が長時間サイトに接続する電子商取引サイトで決済処理や画面表示を高速化できるという。

 主力のリレーショナルDBソフト「Symfoware」では、非リレーショナル型のデータ構造を持つHadoopや、自社の高速検索技術「Shunsaku」の技術を取り込む機能拡張を12年下期に予定する。またアプリケーションサーバー「Interstage」では、スマートフォンやタブレット端末向けのオープンソース開発フレームワーク「jQuery Mobile」などの機能を取り込む機能拡張を11年度下期に実施する。

 海外販売の強化では、海外向けマーケティング機能を集約した「グローバルソフトウェアセンター」を立ち上げるほか、ハードウエアやソフトウエアの戦略に関するホワイトペーパーを公開するなど顧客への情報発信強化に取り組む。法人向けソフトウエア事業の売り上げ規模や海外比率は非公開だが、国内販売に大半を依存しているという。「今後3年で海外比率を4~5倍に高める」(山中明執行役員常務)方針だ。