Nimbula Director Ver1.5の管理画面
Nimbula Director Ver1.5の管理画面
[画像のクリックで拡大表示]

 ネットワールドは2011年9月15日、仮想サーバー運用基盤(クラウド基盤)ソフトの新版「Nimbula Director Ver1.5」を発表した。同年9月27日に出荷する。新たに、外部ストレージ連携やNAT機能など、Amazon AWSの「EBS」「Elastic IP」「Region」に相当する新機能を実装した。年間購読ライセンスを採用し、利用量に応じて課金する。開発は、米Nimbula。

 Nimbula Directorは、仮想サーバーのデプロイ(配備)を自動化する、クラウド基盤ソフト。管理ソフトとサーバー仮想化ソフト(KVM、Xen)をパッケージ化して“クラウドOS”として提供する。Amazon EC2のようなクラウド環境を、自社のデータセンター上に構築できる。特徴は、運用の自動化に注力して手動での設定を可能な限り排除している点や、管理ノードの多重化によって可用性を高めている点、など。

 運用の自動化では、物理サーバー機のNICが備えるPXEブート機能などを、仮想サーバーのデプロイに利用。DBサーバーなど個々の用途ごとに必要なリソースを定義しておけば、デプロイを指示するだけで、空いているサーバーリソースを活用して自動的に配備する。負荷などに応じて仮想サーバーを動的に移動する運用も可能。自社データセンターとAmazon EC2などが混在した環境で、仮想サーバーを相互に移動できる。操作と管理は、CLI(コマンドライン・インタフェース)やRESTful HTTP APIなど。

 新版では、(a)外部ストレージ連携、(b)NAT(アドレス変換)、(c)複数サイト管理と、それぞれAmazon AWSの「EBS」、「Elastic IP」、「Region」に相当する新機能を追加した。さらに、(d)Nimbula Directorの起動イメージを、ホストOSやデバイスドライバなどを選んでカスタマイズできるようにした。

Amazonの3機能「EBS」「Elastic IP」「Region」を実装

 (a)の外部ストレージ連携では、選択できるストレージのタイプを、これまでの2種類から、Amazon AWSと同じ3種類に増やした。具体的には、(1)「Ephemeral disk」(EC2 Ephemeral diskに相当。テンポラリ用)と(2)「Template storage」(Amazon S3に相当。テンプレート保存用)に加えて、新たに(3)「Persistent Disk」(Amazon EBSに相当。データ保存用)を追加した。Persistent Diskでは、外部NAS(NFS)上にデータを保存しつつ、インスタンスからはブロックストレージとして利用する。

 (b)で追加したNAT機能は、Amazon AWSのElastic IPに相当する。各インスタンスに対して、事前に定義したIPアドレスプールから、NAT用のIPアドレスを払い出す。システム障害時などでは、NAT用アドレス(ユーザーのアクセス先)を待機サーバーに割り当てるだけで、システムを復旧できる。

 (c)の複数サイト管理では、複数サイトを一元管理できるようにした(Amazon AWSのRegionに相当)。遠隔拠点に分散した複数のサイト間で管理情報を共有できる。これにより、単一のコンソールから、任意のサイト上の任意のクラスタや物理ノードを指定して、インスタンスを起動できる。

 なお、米Nimbulaの出資者でCEO(最高経営責任者)のChris Pinkham氏は、2006年まで米Amazonに在籍し、Amazon EC2の開発を統括した人物である。Nimbula Directorの発表は2010年6月。国内では、ネットワールドが2011年5月から出荷を開始している。