WOWOWの代表取締役社長である和崎信哉氏は2011年9月8日の会見で、秋の自社主催イベントである「WOWOW大開局祭」の詳細を報告した。このイベントでは、36時間の無料放送(ノンスクランブル放送)に合わせて、放送中に視聴者同士が番組の感想などをインターネット上でやり取りする「ソーシャルビューイング」を行う場を提供する。「ニコニコ動画」や「アメーバブログ」、「Yahoo! JAPAN」などのサイト上で、視聴者が意見の交換をできるようにする。

 意見交換を行うWebサイトは、スペインのサッカーリーグの番組はアメーバブログ、映画関連の番組はニコニコ動画というように、番組ごとに変える。アメーバブログにはピグという自分そっくりなキャラクターを通じて会話ができる機能があり、ニコニコ動画ではリアルタイムでアンケートを行うことができるなど、サイトに搭載された機能はそれぞれ異なる。このため番組ごとに意見交換を活性化しそうな機能があるサイトにコミュニケーションの場を設置する。

 ソーシャルビューイングは、WOWOW大開局祭の際にWOWOWがインターネット上で提供する「WOWOW大開局祭 Webちゃんねる」のコンテンツの一つである。Webちゃんねるでは、番組の見所をリアルタイムに伝える動画なども配信する。

 このほかに和崎氏は2011年7月および8月の加入者数の推移について述べた。直近3年間の7月の加入者数を見ると、2009年と2010年は前月比純減だったが、2011年は純増となった。8月の実績を見ると、新規加入件数はあまり変わらないが、解約件数が大幅に減った。「大量加入、大量解約から脱却して長期加入してもらうことは、我が社にとっての重要な経営マターだった」としたうえで、7月と8月の加入者数推移について、「一つの成果というか、大きな芽が出たと思っている」と述べた。

 会見には取締役の船越雄一氏も参加し、2011年10月3日に開始する娯楽情報を提供するニュースショーの「ザ・プライムショー」についてコメントした。ザ・プライムショーはノンスクランブルの無料放送番組として提供する。「これはWOWOWの番宣番組なのか、という問い合わせを数多くいただいているが、そうではない。WOWOWで取り上げる、取り上げないにこだわらず、旬な題材を取り上げたい」と述べた。

<放送に合わせUstreamで動画をリアルタイム配信、ダブルスクリーンを想定>

 船越氏はこの番組の放送に合わせて、Ustreamでオリジナル動画を配信することも報告した。「例えば映画について話をしているときに、この監督の作品にはこういうものもあるというふうに、付加情報を提供する」という。さらに記者からの質問に答える形で、Ustreamの動画視聴について、「基本的に放送番組を見ながらの視聴を前提としている。番組を見ながらのリアクションや付加情報を題材にして、話題を膨らましていただくような形になる」として、ダブルスクリーンでの視聴を想定しているとした。さらに「放送番組とUstreamの出演者が相互乗り入れすることも考えている」という。

 WOWOWが2011年7月24日に終了したアナログ放送の加入者のうち、デジタル契約に切り替えてもらえなかった加入者については、「2011年6月末時点で6万5000件程度いた。ただし、それより前の解約も含めて、この7月と8月で約2万件が再加入してくれた」(和崎氏)と述べた。