ソフトフロントは2011年9月5日、「デジタル郵便」を事業化することを発表した。携帯電話やスマートフォン、パソコンなどを使って手紙や絵葉書、メッセージを添えたプレゼント、DM(ダイレクトメール)などの郵便物を相手先ポストへ発送手配できるサービスなどを提供する。12月から順次サービス提供を始める。フライトシステムコンサルティング、ソフトフロント、東京リスマチックの3社が中心となり、共同事業として運営する。

 デジタル郵便は、(1)モバイル端末などからハガキや絵葉書、写真付きカードといったオーダーメイドの手紙を送り先に届けられる「手紙郵送サービス」(D-POST)、(2)小規模法人や小売店などが手軽に顧客向けダイレクトメールを発送手配できる「DM発送サービス」、(3)法人向けの電子郵便配信サービス(E-POST)---という三つのサービスで構成する。

 (3)の法人向け電子郵便配信サービスでは、「電子私書箱」を使い、電子的な手紙と従来型郵便を組み合わせてメッセージを安全に配信できる仕組みを提供する。例えば顧客宛てに利用料金の通知や定期的なお知らせを送るといった用途で活用できるとしている。個々の電子私書箱には、事前に登録された識別用アドレスである「ポストナンバー」が割り当てられており、これを使ってセキュリティを確保した状態で利用者同士がメッセージをやりとりできる。メッセージを受け取る側のユーザーは、モバイル端末などから読める「電子手紙」として受け取るか、手紙やカードとして郵送してもらうかを選択できる。電子私書箱には、読み終えた電子手紙の破棄機能(シュレッダー機能)なども搭載されている。

 電子郵便サービスを実現するシステムは、上記3社が持つアプリケーション開発やソフト開発、データ送信技術、オンデマンド印刷、クレジットカード課金システムなどの技術を集結して開発した。システム運用基盤やセキュリティなどについては、日立情報システムズの技術を利用。郵便物の配送業務については、全国2万4000郵便局のネットワークを持つ日本郵政グループの郵便事業が担当する。

絵葉書が送料込みで3~5割安くなる

 ソフトフロントが事前に2000人を対象に市場調査を実施したところ、現在の電子メール(年間約2000億通)やデコレーションメール(同360億通)を利用しているユーザーの半数近くが「モバイル端末から手紙などの郵便物を発送できるサービスがあれば利用したい」と回答したという。この結果から同社では、同サービスに高い関心を持つ潜在利用者のうち、実際のサービス利用件数として年間20億~30億通の需要があると予測している。

 料金については「現在策定中」(ソフトフロント)とする。手紙郵送サービスおよびDM発送サービスについては、「一般的には市販の絵葉書は100~150円で、これに郵便切手代50円がかかるが、デジタル郵便で送るオリジナル絵葉書の料金は、送料を含めて30~50パーセント程度安くなる予定」といった目安を打ち出している。

 法人向けの電子郵便配信サービスについては、「用紙および印刷代、切手などの送料を含めた従来のコストと比較して半分程度のコストになる予定」(同社)だという。同サービスの利用に当たっては専用ソフトが必要だが、基本的にソフトの使用は無料とし、送信料のみを課金するモデルを採用することで、小規模法人が手軽に利用できるようにする計画としている。

 サービス開始予定時期は、手紙郵送サービスが2011年12月、DM発送サービスが2012年1月、電子郵便配信サービスが2012年春となっている。