写真1●基調講演でソーシャルエンタープライズについて熱弁をふるう米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO
写真1●基調講演でソーシャルエンタープライズについて熱弁をふるう米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO
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写真2●SNSのユーザー数が電子メールのユーザー数を超える
写真2●SNSのユーザー数が電子メールのユーザー数を超える
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写真3●Webにアクセスする際のデバイスとしてタブレットやスマートフォンといったモバイル機器が2013年までに
写真3●Webにアクセスする際のデバイスとしてタブレットやスマートフォンといったモバイル機器が2013年までに
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写真4●従業員のタブレットやスマートフォンの利用が1年で劇的に増加
写真4●従業員のタブレットやスマートフォンの利用が1年で劇的に増加
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写真5●企業と顧客・従業員に間にソーシャルデバイドが存在
写真5●企業と顧客・従業員に間にソーシャルデバイドが存在
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写真6●企業向けSNS基盤の「Chatter」に加わる新機能
写真6●企業向けSNS基盤の「Chatter」に加わる新機能
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写真7●「TOYOTA friend」のiPhoneアプリの例
写真7●「TOYOTA friend」のiPhoneアプリの例
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 「企業にもソーシャル革命が起きている。だが、そこには“ソーシャルデバイド”が存在している。はたして企業は(顧客や社員と)ソーシャルなつながりを持っているのか」――。2011年8月31日(米国時間)、サンフランシスコで開催中の米セールスフォース・ドットコムののプライベートイベント「Dreamforce 2011」で、マーク・ベニオフCEO(写真1)は、同社が掲げる「ソーシャルエンタープライズ」について熱弁をふるった。

”エンタープライズの春”が起こりかねない

 ベニオフ氏は、メインフレームの時代、パソコンの時代、そしてその後に「モバイルの時代が来た。これは(米アップルの)スティーブ・ジョブズ氏が導いたと言える」とITの歴史を振り返りつつ、その先の新しい時代として「”ソーシャル革命”が起きている」(同氏)と語る。民主化運動によって独裁者が追い出された”アラブの春”を、Facebookなどソーシャルネットワークサービス(SNS)が後押ししたことなどを挙げ、こうしたソーシャル化の波に気を配らないと「“エンタープライズの春”が起こる。顧客の声、従業員の声に耳を傾けていない企業は滅びかねない。今までに以上にもっと耳を傾けなければならない」と警鐘を鳴らす。

 実際、SNSのユーザー数は電子メールのユーザー数を超えるという(写真2)。Webにアクセスする際のデバイスとして、タブレットやスマートフォンといったモバイル機器が2013年までに160億台に上るといった調査結果もある(写真3)。さらに企業において、コンシューマデバイスだと思われていたタブレットやスマートフォンを利用する従業員が1年で劇的に増加したことなどを挙げ(写真4)、まさに今「変化が起きている真っ最中」(ベニオフ氏)であると指摘した。

企業が変わるための三つのステップ

 こうした変化の中で、はたして企業は変わっていけるのか。ここでベニオフ氏は、ソーシャルデバイドが、企業と顧客・従業員の間に存在していると語る(写真5)。顧客や従業員と企業の間にある亀裂をどうやって埋め、どうやってつなげていくのか。この亀裂を埋めて、企業と顧客・従業員がつながることが“ソーシャルエンタープライズ”であるとし、そのための道程として次の三つを挙げた。

 ステップ1は「顧客のソーシャルプロファイルを作成すること」。顧客が自ら公開しているソーシャル情報をトラッキングし、即座に顧客がどのような要望を持っているのか、どんな意見があるのか、といったことが反映されるデータベースを構築する。

 ステップ2は「従業員をソーシャル化すること」。従業員同士のコラボレーションだけでなく、場合によっては顧客もいっしょに活用する。その際のグループ化などを可能にする新機能などを、今後同社の業務用SNS「Chatter」に加えていくという(写真6)。

 そしてステップ3は「顧客自身や製品を含めたソーシャルネットワークを築くこと」であるとベニオフ氏は説く。プロダクトのソーシャルネットワークの例としてトヨタ自動車の「TOYOTA friend」の例を挙げ、自動車からの情報発信の例や、解錠などを操作できるiPhoneアプリを紹介した(写真7)。