福島県の南相馬市は、東日本大震災で被災し北陸地域に避難した南相馬市の市民を対象に、インターネット回線を通じ、デジタルテレビやパソコンなどで視聴可能な「南相馬チャンネル」の映像提供実験を2011年9月1日に開始する。

 「南相馬チャンネル」は、地上デジタル放送に使用されているUHF帯の周波数で他の放送局との混信などが発生しない周波数(ホワイトスペース)を活用して放送している地域限定のテレビ実験放送。2011年7月20日に開始し、2012年7月14日までの実験を予定している(関連記事)。

 また総務省の北陸総合通信局は、この「南相馬チャンネル」の映像提供実験の支援に関する事項を検討することなどを目的とする『「南相馬チャンネル」北陸地域映像提供実験支援協議会』を8月29日に設置した。

 同協議会のメンバーは、南相馬市長の桜井勝延氏、南砺市長の田中幹夫氏、総務省北陸総合通信局長の斉藤一雅氏、西日本電信電話(NTT西日本)北陸事業本部長の森英俊氏、ヨーズマー代表取締役の野口高志氏、パナソニック北陸支店長の横井慎一氏、パナソニックシステムソリューションズジャパン北陸社社長の楳村音弥氏、アクトビラ代表取締役社長の香西卓氏である。

 ヨーズマー(本社:石川県金沢市)は、南相馬市において南相馬チャンネルの運用を行っている事業者。NTT西日本はインターネット回線の提供など、パナソニック・グループはテレビの提供、アクトビラはテレビ向け配信技術などで映像提供実験に協力する。

 なお、このように北陸地域の南砺市が南相馬市を支援する背景には、歴史的な経緯がある。南相馬市は、旧相馬中村藩領で天明の大飢饉後(1810年)の藩財政の復旧、貧窮した領民の救済、激減した人口の増加を図るために移民誘導を進め、そのときに富山県の南砺市内全域から多数が移り住んだという。このため両地域は、今もなお交流が続けられている。

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