アイエニウェア・ソリューションズは2011年8月25日、組み込み用途やモバイル端末に向いたRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の新版「SQL Anywhere 12」を販売開始した。新たに、iPhone/iPadとAndroid用のエンジンを用意したほか、複数のエンジンにデータベースアクセスの負荷を分散できるようにした。価格は、5ユーザー13万8000円(税別)から。

 SQL Anywhereは、アプリケーションへの組み込み用途やモバイル端末での利用に向いた、小型軽量のRDBMSである。外出先に企業データを持ち出して、オフラインで参照/データ入力する用途などに適する。組み込み時には、DBMSの存在を意識せずに利用できるように、メンテナンスを不要としている。また、モバイルに特化した機能として、RDBMS同士でデータを同期する機能を備える。

 新版では、組み込みに特化したスタンドアロン型の軽量エンジン「Ultra Light」の稼働プラットフォームと開発キットを拡充し、スマートフォン/タブレット(iPhone/iPadとAndroid)のアプリケーションに組み込めるようにした。アプリケーション開発者は、それぞれの開発ツール(XcodeやJava/Android SDK)を用いて、アプリケーションにUltra Lightを組み込むことができる。

 さらに、モバイルアプリケーションに適した機能強化として、地図情報システム(GIS)で利用する空間データを扱えるようにした。これにより、店舗の場所をピンポイントで保存したり、店舗の配送領域をポリゴン(多角形)として保存したりすることができる。OGCやSQLMMなどの標準データを扱える。SHAPEファイル形式でデータを取り込めるほか、KML、GML、SVG形式で出力できる。

読み込み専用のスケールアウトを可能に

 新版ではまた、読み込み専用のスケールアウト機能を追加した。複数のSQL Anywhereエンジンをツリー型(多階層のスター型)に接続して、読み込み時のクエリー(問い合わせ)を分散させる。クラスタを構成するSQL Anywhereのすべてが同一のデータを複製して持っている状態で利用する。これにより、簡単にアクセス性能を拡張できる。

 なお、読み込み専用のスケールアウトはもともと、従来版において2ノード構成で実現できていた機能である。データをミラーリングしたアクティブ・スタンバイ型のHA(高可用性)クラスタにおいて、スタンバイ側サーバーを、更新を伴わない読み込み時に限って並列で利用する機能だ。今回、この機能を複数サーバーへと拡張し、さらにツリー構成で動作するようにした。クエリーを受け付けるマスターサーバーがクエリーに返信する。