写真1●Virtual Services Platform 7000の外観
写真1●Virtual Services Platform 7000の外観
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写真2●日本アバイアでソリューションマーケティング、データソリューションマネージャーを務める山中幸代氏
写真2●日本アバイアでソリューションマーケティング、データソリューションマネージャーを務める山中幸代氏
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 日本アバイアは2011年8月26日、イーサネット接続の経路制御を簡素化してネットワークを仮想化する規格の一つ、IEEE 802.1aqに準拠したエッジスイッチ「Avaya Virtual Services Platform 7000」(VSP 7000)を発表した(写真1)。

 2010年11月に出荷したシャーシ型コアスイッチ「VSP 9000」(関連記事)と組み合わせることで、エンドツーエンドでネットワークを仮想化できる。2011年8月29日に出荷する。参考価格は、グローバルで1万9995ドルから。

 VSP 7000は、いわゆるTop of Rackと呼ばれるスイッチ。ラックの上部に設置して、ラック内のサーバー機やストレージを直接収容する。

 最大の特徴は、任意の物理トポロジーで接続した複数のスイッチ機器を仮想化し、あたかも単一のスイッチであるかのように利用できること。同機能はこれまで、VSP 9000などのコアスイッチで実現していた。今回、Top of Rackスイッチを追加することで、サーバー同士がエンドツーエンドで仮想ネットワークを利用できるようになった。

IEEE 802.1aq(SPB)でL2ファブリックを構成

 ネットワークの仮想化は、ネットワークの経路制御を簡素化する仕組みの一つであるIEEE 802.1aq(SPB: Shortest Path Bridging、最短パス・ブリッジング)を利用する。イーサネットフレームをカプセル化して経路判断のための情報を付与し、IS-IS(Intermediate System to Intermediate System)を用いてレイヤー2(L2)でルーティングする。SPBに準拠したスイッチを束ねることで、イーサネットのファブリックを実現できる。類似技術に、IETFのTRILLがある。

 SPBを用いた仮想L2ネットワークのメリットは、全接続経路を有効利用するマルチパスによってSTP(スパニングツリープロトコル)を代替し、可用性と通信帯域を両立できること。さらに、この上でネットワーク構成/設定の変更が容易になることである。特に、仮想サーバー環境の運用が容易になる。仮想サーバー機が別の物理サーバー機へと移動するマイグレーションの際などに、個々のスイッチのポート設定やVLAN(Virtual LAN)設定を事前に施しておく必要がなくなる。

VMware仮想サーバーのポートプロファイル設定を自動化

 仮想サーバー環境と連携するための機能として、2011年中に、ネットワーク管理ソフト「Avaya Virtualization Provisioning Service」(Avaya VPS)を出荷する(価格は5000ドルから)。VMware vCenter API経由で連携してライブマイグレーションの情報を入手し、仮想サーバーを収容するvSwitchと物理スイッチの設定を動的に変更する。

 2012年には、IEEE 802.1Qbg(VEPA: Virtual Ethernet Port Aggregator)を応用して、ライブマイグレーション時の仮想サーバーのネットワーク設定をVSP 7000スイッチだけで自動化できるようにする。このためのソフトとして、VMware vCenterに組み込むプラグインを提供する予定である。2013年には、Fibre Channelストレージを運用するために、DCB(Data Center Bridging)とFCoE(Fibre Channel over Ehernet)を利用できるようにする。

48時間かかっていたネットワーク設定作業を4時間に短縮

 VSP 7000の製品発表会では、日本アバイアでデータソリューションマネージャーを務める山中幸代氏(写真2)が、VSP 9000やVSP 7000を使うことによってネットワーク設定が簡素化する実例を紹介した。

 同社のあるユーザーでは、データセンターに新しいアプリケーションを導入する際のネットワーク設定作業として、VSPの導入前には最短でも48時間かかっていた作業を、4時間15分に短縮化したという。内訳は、ネットワーク設計が12時間から2時間に、コンフィグが16時間から15分に、変更管理が20時間から2時間に、それぞれ短縮した。

 なおSPB対応のスイッチ機器としては、今回発表のVSP 7000、2010年11月に出荷したコアスイッチVSP 9000のほかにも、2010年7月に出荷した「Avaya Ethernet Routing Switch 8800」がある(関連記事)。