写真●Dell PowerEdge C5220 マイクロサーバ
写真●Dell PowerEdge C5220 マイクロサーバ
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 デルは8月24日には、搭載密度を高め、省電力を実現したサーバーの新機種「Dell PowerEdge C5220 マイクロサーバ」を出荷開始した(写真)。3Uのラックマウントシャーシーに最大12台のサーバーを搭載できる。サーバーモジュールは、1シャーシーに最大8台搭載可能なモデルと最大12台を搭載可能なモデルの2種類を用意。Intel Xeon E3-1200シリーズを1個、メモリーは最大32Gバイトを搭載する。ハードディスクは、3.5インチHDDを2個、または2.5インチHDDを4個搭載可能だ。

 PowerEdge C5220 マイクロサーバは、1Uのラックマウントサーバーと比較して、設置スペースが4分の1で、ノード当たりの消費電力は40%削減しているという。布谷恒和氏(公共・法人マーケティング本部 サーバブランドマネージャ)は「スケールアウト型のパブリッククラウドサービスの構築に向く製品だ」と話す。

 布谷氏は新サーバーの発表会の席で、同社が提供するサーバーやスイッチ、ストレージなどの機器の稼働保証温度を、従来の10~35度から、マイナス5~45度に広げることも明らかにした。ただし、年間の稼働時間のうち、室温40度の時間が10%、室温45度の時間が1%までという条件がある。対象製品は、サーバーがPowerEdge T610、同R710など、スイッチがPowerConnect 7048R、同8024など、ストレージがPowerVault MD1000、同3000など。既に販売済みの製品についても適用するという。なお、今回の新製品はこれに対応していない。

 これは空調を用いずに外気を利用して冷却する「Fresh AirCooling」の仕組みを採用したデータセンターへの同社製品の採用を推進する狙いがある。「2年半におよぶ実証実験を通じて、温度や湿度に対する耐性などを確認した。Fresh Air Coolingを採用すれば、データセンターの電力利用効率を大幅に高めることができる」と強調した。

 米Dellは、日本を含む世界各地の気候データを調査した上で、高温多湿や低温で乾燥した環境などでの機器の連続稼働テストを実施。室温40度の環境では稼働時間が900時間を超えると、室温45度では90時間を超えると、故障率が上がることを明らかにした。また、室温5度では故障率の上昇などの問題は起こらず、ほこりの蓄積の影響もなかったという。

 データセンターの消費電力効率は一般に、データセンター全体の消費電力量をIT機器の消費電力量で割って算出するPUE(Power Usage Effectiveness)という指標で示される。一般的なデータセンターにおけるPUEは1.5~2.5程度である。布谷氏によると、米Microsoftが提供する地図情報サービス「Bing Maps」のデータセンターは、デル製品を使いFresh Air Coolingの仕組みを導入して、PUE1.03を達成している。