写真1●AppLogicによるシステム設計画面
写真1●AppLogicによるシステム設計画面
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写真2●新版で追加したサーバー監視画面
写真2●新版で追加したサーバー監視画面
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写真3●CA Technologiesでカスタマー・ソリューション事業本部クラウド・ソリューション事業部長を務めるMike Alford氏
写真3●CA Technologiesでカスタマー・ソリューション事業本部クラウド・ソリューション事業部長を務めるMike Alford氏
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 CA Technologiesは2011年8月23日、サーバー仮想化技術を用いて複数サーバーの構成をテンプレート化する“グリッドOS”の新版「CA AppLogic 3.0」を出荷した。開発元の米3teraを2010年3月に買収して以来、初めてのバージョンアップとなる。新版では、サーバー仮想化ソフトとして、これまでのXenに加えてVMware ESXを利用できるようにした。価格は、最小構成となるCPU 25ソケットで394万円(税別)。

 AppLogicは、3階層Webシステムのように複数のサーバー機やネットワーク/ストレージ機器で構成された業務システム一式を、マウス操作だけで簡単に構築してプロビジョニング(配備、複製)するミドルウエア。システムを構築する方法は、ネットワーク構成図の作成ソフトのような画面上に、Webサーバー、負荷分散装置、データベースサーバーなどのアイコンを選んで配置し、これらのプロパティを設定してネットワークインタフェース同士を線でつなぐというもの(写真1)。

 今回の新版では、システムの構成要素となる仮想サーバー環境として、これまでのXenに加えて、新たにVMware ESXを利用できるようにした。また、システム構成をデザインする画面のほかに、サーバーの稼働状況などを監視する運用管理画面を新規に用意した(写真2)。また、ネットワークの構成方法としてタグVLANを利用できるようにした。さらに、今バージョンで初めてGUI/CUIとドキュメントを日本語化した。

 「クラウドのROI(投資収益率)を高める際に超えなければならない壁が二つある」として、プロビジョニングツールの必要性を説くのは、CA Technologiesでクラウド・ソリューション事業部長を務めるMike Alford氏(写真3)。サーバー仮想化ソフトを導入するだけで第一の壁を越えられるが、第二の壁を越えてさらにROIを高めるためには、単一コンソールから複数のデータセンターを構築できるサービスコンテナが必要であると力説した。

用途別の仮想サーバーとシステム構成をテンプレート化

 システム構築時に配置するWebサーバーやストレージなどのアイコンは、それぞれWebサーバー用の設定やストレージ用の設定を施した仮想サーバー機を指す。AppLogicでは、こうした、あらかじめ用途ごとの設定を施した仮想サーバー機を、それぞれイメージとして固めておき、カタログ化する。システム構築時には、カタログから用途別の仮想サーバー機を選んで利用する。逆に言えば、仮想サーバー機のかたちをとっていないリソース(ハードウエア型のネットワーク機器やストレージ機器など)は、AppLogicからは利用できない。

 標準で用意している仮想サーバー機の種類は、全12カテゴリ全39種類に上る(次ページの表1)。これ以外に、ユーザー自ら任意の仮想サーバーイメージを固め、カタログに登録して再利用できる。例えば、標準で用意している仮想サーバーイメージはLAMP環境などのオープンソースや無償の「Oracle Database XE」などに限られるが、ユーザーはOracleや商用ミドルウエアなど所望の仮想サーバーイメージを構築できる。

 個々のサーバー機をテンプレート化しているだけでなく、複数サーバーで構成するシステム一式をテンプレート化し、これを任意のAppLogic環境上で再現/再構築できる。これにより、一時的に利用するシステムを、利用したいときだけ瞬時に構築して利用するといった使い方ができる。また、あるデータセンターで使っているシステムと同じシステムを、遠隔地にある別のデータセンターに再現して稼働させるといった使い方ができる。