図●SNS利用中のメッセージ内URLリンクに対する意識についての回答結果
図●SNS利用中のメッセージ内URLリンクに対する意識についての回答結果
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 トレンドマイクロは2011年8月22日、国内のインターネットユーザーを対象に実施した、ソーシャルネットワークサービス(SNS)利用に関するWebアンケートの調査結果を発表した。

 調査結果からは、友人からのメッセージに含まれているURLリンクを疑いもせずに開いてしまうSNSユーザーがかなりの割合に上るという実態が判明。セキュリティベンダー各社は2010年ころから、SNSの「信頼の輪」を悪用したマルウエア感染サイトなどへの誘導の危険性について度々警告しているが、実際のアンケート結果からもこれを裏付けるデータが得られた格好だ。

 同アンケート調査は、トレンドマイクロが「12歳以上の国内インターネットユーザー」を対象に6月28日から6月30日まで実施したもの。618名から有効回答を得た。Twitterやmixi、FacebookなどのSNSを利用しているときに、他のユーザーから受け取ったメッセージ内に「URLリンク」が含まれていた場合の行動などについて尋ね、質問に対する回答項目は、「同意する」「やや同意する」「やや同意しない」「同意しない」という4種類を設定している。

 上記SNS利用中のメッセージ内URLリンクに関する質問では、「ユーザーと送信元の人物との関係性が深いほど、ためらいなくリンクをクリックする」傾向が強く表れるという結果になった()。特に目立つのは、「直接会ったりする友人・知人のメッセージであれば、特に気にせずクリックする」という項目で、約半数(46.7パーセント)のユーザーが「同意する」と回答。「やや同意する」の31.7パーセントと合わせると、実に約8割のユーザーが肯定的な回答をしている。

 その一方で、「(いかなるメッセージでも)特に気にせずクリックする」という項目に「同意する」と答えたユーザーは4.7パーセントとかなり低かった。また、「誰からのメッセージであっても警戒してクリックしない」という項目に「同意する」と回答したユーザーも10.5パーセントにとどまっている。

 これらの結果から、多くのユーザーはURLリンクを見境なくクリックするといった行為が危険であることを十分理解しており、Webセキュリティに関して一定のセキュリティ意識を持っている様子がうかがえる。ただし、SNSの「信頼の輪」がユーザーの心理に与える影響はやはり大きく、友人など面識ある人物からメッセージを受け取るとそうした警戒心が大きくそがれてしまう傾向が見てとれる。

 調査では、その面識ある人物からのメッセージに対する警戒心について、世代ごとの違いも調べている。それによると、20代から50代までのユーザーのうち、「より若い世代のユーザーの方がより年齢が高いユーザーよりも疑いを持つことが少ない」結果になった。具体的には、面識ある友人や知人のメッセージを気にせずクリックするというユーザーは、20代では57.8パーセントなのに対して、50代では34.7パーセントと2割以上低くなっている。

 性別による違いでは、同じ質問に対して男性は43.3パーセントが「同意する」と答えたのに対して、女性は50.9パーセントと7パーセントほど高くなっており、女性の方が男性よりも相手を信頼してクリックしてしまう傾向がやや強く見られるという結果になったという。