米Google傘下のビデオ共有サービスYouTubeは現地時間2011年8月17日、全米音楽出版社協会(NMPA)およびその子会社Harry Fox Agency(HFA)との著作権侵害を巡る係争で和解したことを発表した。

 HFAに加盟している4万6000におよぶ音楽出版社は、ユーザーによってYouTubeにアップロードされたコンテンツに著作権を有する音楽作品が含まれる場合、広告付きの公開を許可することでライセンス料を得られる。GoogleとHFAは、他の音楽出版社にも同様の提携を結ぶよう呼びかけていく。Googleは、これによって作詞作曲家が収益を得る機会が広がるとしている。

 NMPAは2007年に、著作権付き作品を含むコンテンツが著作権保持者の許可なしにYouTubeに掲載されているとしてYouTubeを提訴していた(関連記事:YouTubeに対する著作権侵害訴訟,全米音楽出版社協会なども原告に加わり大規模化)。

 YouTubeはアップロードされた動画が著作権を侵害していないか管理するツール「Content ID」を提供しており、現在2000以上の大手レコード会社や映画制作会社、テレビ局などが活用しているという。また、商用音楽が含まれたビデオを広告付きで公開する場合は、録音物と作品(詩・曲)の両方の著作権保持者から許可を得ることをポリシーで定めているため、「今回の合意は音楽出版社だけでなく、レコーディングアーティストやレコード会社にとっても利益になる」とYouTubeは述べている。

 著作権侵害の批判を受けることが多いYouTubeだが、自身は放送局のようなメディア企業ではなくビデオ共有サービスをホスティングする企業だと主張している。米Viacomが同社を相手取って起こした著作権侵害訴訟では、ニューヨーク州連邦地方裁判所はYouTubeが米デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の免責条項の対象になるとの判断を下した(関連記事:GoogleとYouTube、著作権侵害訴訟でViacomに勝訴)。

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