Mozillaプロジェクトは2011年8月16日(米国時間)、Webブラウザー「Firefox」とメールクライアント「Thunderbird」の最新バージョンである「Firefox 6」および「Thunderbird 6」を同時にリリースした(写真1、写真2)。
世界各国の言語に対応したWindows用、Mac OS X用、Linux用の3種類のパソコンOS向けインストールパッケージを用意しているほか、Firefox 6についてはフォントなどをタブレット端末向けに最適化したというAndroid用アプリも配布。Mozilla JapanのWebサイトやAndroidマーケットなどから無償でダウンロードできる。既存ユーザー向けの自動更新も数日以内に始まる予定となっている。
Firefox 6は、6月21日(米国時間)にリリースしたFirefox 5の後継となるバージョン。レンダリングエンジンとして、最新の「Gecko 6」を搭載する。バージョン5の公開から2カ月弱しかたっていないこともあり、新機能については、(1)ロケーションバーで現在開いているWebサイトのドメイン名の強調表示、(2)タブグループ使用時の読み込みの高速化、(3)開発者向けに「Web 開発」 メニューを新設---など小規模な追加にとどまっている。ただし、1400項目を超えるバグの修正やAPIの追加など、見えないところで数多くの機能強化や改良が施されている。
Thunderbird 6は、同プロジェクトが6月28日に公開したThunderbird 5の後継バージョン。Firefox 6と同じ最新のGecko 6レンダリングエンジンを搭載し、前バージョンと比べて動作速度や安定性、安全性の向上などを図っているという。Windows 7向けアプリケーションでは、同OSの独自ユーザーインタフェース(UI)である「ジャンプリスト」への対応などの機能追加も実施している。
Firefox 6の配布開始に合わせてMozilla Japanでは、同ブラウザーが国内でダウンロードされている状況をリアルタイムに確認できるWebページ「Firefoxの灯」の運営を再開している(写真3)。同ページは以前、Flashを使って構築していたが、最新のWeb標準技術やFirefoxが先行実装した技術を使ってリニューアルした。
具体的には、ベクター形式の画像を表示するためのフォーマットである「SVG」(Scalable Vector Graphics)を使った日本地図の表示や、HTML5で規定する画面描画の仕組みである「HTML Canvas」を使った輝きの表現、「CSS Transition/CSS Transform」を使った日本地図の拡大縮小の動きの制御などを行っているという。さらに、Mozillaプロジェクトが提案およびFirefoxで先行実装した「Audio Data API」を使い、灯の輝きなどに応じてJavaScriptでリアルタイムに音を作り出す仕組みも使っている。
同サイトの表示によれば、8月17日午後1時半現在、Firefox 6の国内でのダウンロード数は11万回以上となっている。