富士通は2011年8月11日、ユーザー企業が抱えている既存の業務システムをスリム化するSIサービスを提供開始した。使われていない画面・帳票を統廃合したり、類似したデータベースを一つに統合したりする。スリム化に関する方法論やツールを富士通社内で標準化/体系化したことで、以前よりも低コスト化/短期構築化を図った。個別案件ベースのSIサービスでありながら、価格例を挙げているのが特徴だ。
同社が提示した価格例は2つ。(1)アプリケーションのソースコードに手を入れてスリム化するケースでは、もともと3万行の規模のシステムを分析してスリム化する場合に、最小で500万円から。(2)具体的な改変例としては、Visual Basic 6.0で構築した、300画面(業務処理)、アプリケーション800本の業務システムをスリム化してVB.NET環境に移行するケースで、1300万円からという価格を提示している。
スリム化の対象となる業務システムの種類は問わない。メインフレームのアプリケーションや、オープン系だがデータベース開発ツールなどのレガシー技術を用いたアプリケーションなどを、主な対象として想定する。SIサービスの流れとして、まずは、これらを利用した既存の業務システムを分析して可視化し、統廃合や作り替えによるスリム化のシナリオを作り、実施する。
従来、こうした個別のシステム構築案件は、個々のSI部署やSEが個別案件として受注し、それぞれの経験やスキルを利用して実施してきた。今回、富士通社内で蓄積したスリム化に関する経験とツールを体系化し、開発の短期化(低価格化)を図った。同一の方法論とツールを用いて富士通社内でスリム化を実施した実績として、アプリケーション数を約8割、帳票数を約6割削減した、としている。
富士通では、今回のスリム化サービスを、2010年5月から提供している「APMモダナイゼーションサービス for Cloud」の一環として位置づけている。同サービスは、現行システムの現状を分析し、クラウド環境に移行するまでの工程を支援するサービス群。この移行プロセスの中で、効果が高い要素としてスリム化のプロセスを追加したかたち。もちろん、クラウドへの移行とは独立して、スリム化だけのサービスを利用可能である。