東京商工リサーチは2011年8月10日、有価証券報告書提出企業などを対象とした「IFRS適用に関するアンケート調査」の結果を公表した。85%以上の企業が「IFRSへの対応について何らかの検討を行って」おり、その中で「2015年に対応可能」とした企業が86.0%あることが明らかになった。アンケートの調査期間は5月31日~7月15日で、有効回答社数は407社だった。

 「IFRS適用の検討状況」では、「IFRSの適用対象となるので検討を開始している」企業が300社、「適用対象外だが検討を開始している」企業が47社で、全体の85.3%に当たる計347社がIFRS適用の検討を始めている。「適用対象だが全く検討していない」企業も25社あった。

 作業の進捗を尋ねたところ、IFRS対応の検討を開始している企業の58.8%に当たる203社が「事前調査段階」と回答した。「進捗状況は入り口段階である」と東京商工リサーチは分析している。

 調査では「2015年に強制適用があった場合に対応できるか」も聞いている。その結果、IFRS対応の検討を開始している企業の86.0%に当たる320社が「可能」と回答。調査期間中の6月21日に自見庄三郎金融担当大臣が「2015年3月期の強制適用はない。強制適用する場合、決定から5~7年程度の準備期間を設定する」としている(関連記事:「2015年3月期からのIFRS強制適用はない」、金融担当大臣が明言)が、2015年を目標に準備を進めている企業が多いようだ。

 アンケートでは適用延期を含めて、適用スケジュールについての自由意見を掲載している。適用延期については「強制適用延期発表により計画の検討スピードを緩めることになったが、予定が不透明なため導入検討計画が進めづらい」といった意見があった。スケジュール全般については「導入時期が不明確なために、社内プロジェクトのスケジュールが組みにくい」などの意見が出ていた。

 「IFRSの導入に関して最も懸念されること」を、検討を開始している347社に聞いた結果、最も多かったのは「IFRSに対応できるようなシステムやプロセスの変更」。全体の59.1%に当たる205社がこう回答した。次に多かったのは、利益の表示の変更などの「会計基準の変更関連」で32.9%・114社が挙げている。