日本ユニシスで製造流通企画部事業戦略企画室長を務める高橋潤一氏
日本ユニシスで製造流通企画部事業戦略企画室長を務める高橋潤一氏
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 「データセンターがSLA(Service Level Agreement)を守ることができる根拠を、利用者自ら検証すべき時期にきている」---。日本ユニシスは2011年8月8日、本社でセミナーを開催し、自然災害などを経て変わりつつある、今後のデータセンターの選定基準について説明した。

 日本は現在、事業継続の観点から、ITシステムの安定稼働が求められている。一方で、データセンターは、設備の供給だけでなくアプリケーション基盤を含めたITインフラ全体の供給へと選択肢が多様化している。こうした中、データセンターに求められる要求が以前よりも厳しくなっている、と日本ユニシスは説明する。

 「データセンター事業者からSLAを提示されても、利用者は実効性を判断しにくい。自ら調査して検証しなければならない」と、日本ユニシスで製造流通企画部事業戦略企画室長を務める高橋潤一氏は指摘。設備だけであれば、どうやってSLAを実現しているのかが見える。ところが、「アプリケーションやサービスを含めたITシステム全体では、SLAの実効性を判断できない」(高橋氏)。

 データセンターのSLAの実効性を判断する材料として高橋氏は、「データセンター事業者自体の企業力」を挙げる。高いセキュリティを維持できるかどうか、企業自体がつぶれずに継続するかどうか、といった視点である。不動産としての価値だけでなく、運用体制の信用度といった要素が、以前よりも増して重要視されるようになってきたという。

 大地震などの災害を想定すると、不動産としての立地においても、データセンターを複数の場所に分散させる需要が高まっている。特に、高橋氏はデータセンターが東京に一極集中化している現状に警笛を鳴らす。「国内データセンター350カ所のうち150カ所を東京が占める。東京に災害が発生すると、データセンター自体は大丈夫でも、電源供給や運用体制の供給が少なくなる恐れがある」(高橋氏)。