写真1●お薦めアプリを選ぶアプリ「AppGrooves」
写真1●お薦めアプリを選ぶアプリ「AppGrooves」
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写真2●iPhone内のアプリの中からどちらが好みかを選ぶ
写真2●iPhone内のアプリの中からどちらが好みかを選ぶ
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写真3●投票結果はFacebook上で公開される
写真3●投票結果はFacebook上で公開される
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 お薦めのiPhoneアプリを探し出してくれるiPhoneアプリ「AppGrooves」(写真1)が登場した(アプリサイトはこちら、iTunesはこちら)。楽天執行役員と東大助教を務め、現在はシリコンバレーでアプリと同名のベンチャー企業を立ち上げた柴田尚樹氏らが開発した。

 お好みのアプリを探す手段としては、米アップルのマーケット「App Store」、外部のオンラインや雑誌のアプリ紹介メディアを使う方法などがある。アプリを探すためのアプリとしては、Chomp、appsfire、frenzappなどがあるが、AppGroovesの違いは、独自のアルゴリズムに加えて、ネット上の「集合知」を利用することだという。

 AppGroovesは、iPhoneが搭載するアプリを自動的に検出し、そのアプリの中から2個を選んで、どちらが好きかを投票する。これを繰り返すことでユーザーの嗜好を学習し、お薦めのアプリを見つけてくれる。特徴的なのは、アプリの選択結果がFacebook上に公開され、同時に友人や知人に対して「あなたはどちらが好き?」と聞くこと。これにより、友人・知人間の口コミ効果が生まれ、短時間で話題づくりができる。

 AppGroovesが採用するアルゴリズムは、基本的には「協調フィルタリング」と「ベイジアンネットワーク」をベースとしたもの。ほかのお薦めアプリと同様、同社も当初はこの独自アルゴリズムだけでお薦めアプリを選ぶことを考えていたが、それでは十分ではないと考えるようになったという。それは統計結果によって分かってきた事実があるからである。

 例えば、写真アプリについて言えば、72.9%の人は1個以下の写真アプリしか持っていない。一方で、10個以上の写真アプリを持っているユーザーが2.9%いる。つまり、複数のアプリを知っているユーザーはごく一部であり、多くのユーザーはそれほど詳しくないという結果が出ているのである。

 その現実を踏まえると、「Instagramを持っている人は、Camera+も持っている傾向にある」という分析にはあまり価値がなく、多くの人が知りたいのは「最初に試すべき写真アプリはどれか?」であると考えたのだ。

 同社の発想は、10個以上の写真アプリを持っている一部の人に、どの写真アプリが良いかを聞いて、その結果をFacebookを通じてその他大勢の人にお薦めするというものである(写真2、3)。

 現時点での収益は、アフィリエイト収入によるもの。有料アプリの5%を得ている。広告については未定とする。

 同社が日本ではなくシリコンバレーで起業した理由について柴田氏は「グローバルマーケットで勝負したかったから」とする。スタンフォード大学で研究生として滞在した間に、起業するならシリコンバレー以上に良い場所は世界中どこにもないと痛感したのだという。具体的には、現地の投資家から資金と協力を得ることが、グローバル市場での成功の近道と判断した。