スカパーJSATホールディングス(スカパーJSAT HD)は2011年8月4日、「2011年度第1四半期決算説明会」を開催した。代表取締役社長の高田真治氏は、スカパーJSATが今後行う新たな取り組みの一つとして、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスとIPマルチキャスト方式の同時再送信サービスを順次提供すると述べた。

 VODサービスの名称は「スカパー!オンデマンド」で、スカパー!の番組をブロードバンド回線経由で提供する。このサービスの開始によりパソコンなど様々な端末での視聴が可能になるという。「時と場所を選ばずに番組を視聴できるサービスを提供したい」としている。

 IPマルチキャスト方式の同時再送信サービスで、パソコンでの番組の視聴を可能にする。まず、スカパー!HDのチャンネルの提供開始を予定する。これまで、アンテナを取り付けられないなどの事情でスカパー!の番組の視聴が困難な人へのアプローチも、このサービスによって可能になるという。スカパーJSAT HDは、この二つのサービスについて、従来の衛星放送を補完するためのサービスと位置付けている。

 さらに高田氏は今回の決算説明会で、顧客目線でのサービス拡充の一環として、テレビメディア横断型番組情報サービスの「テレコ!」を試験的に開始したことを報告した。テレコ!は、地上放送とBS放送、スカパー!の番組をメディアの枠組みを越えて横断的に検索できるサービスである。「最終的にはソーシャルメディアとの連携を考えている」という。

 2011年10月に開始する新たなBS放送を基にした東経110度CS放送「スカパー!e2」の加入最大化の新戦略も発表した。テレビや新聞、Webサイトなどで積極的に広告を投下するほか、スカパーJSATの子会社が開局する新チャンネルの「BSスカパー!」を活用して視聴者層の拡大を図る。スカパー!e2を受信できない世帯については、アンテナの取り付けを代行するキャンペーンを推進するなどして、スカパー!の番組を視聴できる環境を整える意向である。

 なおスカパーJSAT HDの2011年度第1四半期の連結業績は、売上高が379億1100万円(対前年同期比7.8%増)、営業利益は59億1600万円(同466.2%増)、経常利益が56億6300万円(同1122.1%増)、当期純利益は34億2000万円(同44億7300万円の改善)だった。ワールドカップサッカーの関連費用が発生した前年同期に比べて営業費用が抑制されたことなどが要因となり、営業利益などは大幅に増加した。

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