挨拶する鈴木寛文部科学副大臣。学びのイノベーション事業について「総務省と協力して(新しい学びの)ベストプラクティスを作るのが目的。日本人、日本社会をつくり直す意味を持っている」と述べた
挨拶する鈴木寛文部科学副大臣。学びのイノベーション事業について「総務省と協力して(新しい学びの)ベストプラクティスを作るのが目的。日本人、日本社会をつくり直す意味を持っている」と述べた
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 文部科学省は2011年8月3日、「学びのイノベーション推進協議会」の第1回会合を開催し、同協議会が検討する「学びのイノベーション事業」の概要を説明した。

 同協議会は、文部科学省が実施する「学びのイノベーション事業」の方針・計画を決定する。同事業の進捗状況を確認、年度末の総括なども行う。教育の情報化に関する有識者、行政関係者や民間関係者などで構成する。

 同事業は情報通信技術を利用して、子ども一人ひとりの能力や特性に応じた学びができる環境作りや、互いに教え合う協働的な学びができる環境作りを目指すプロジェクト。2011年度にスタートした。モデルとする教科別デジタル教科書の開発や、導入済みのデジタル教科書・教材、情報端末を利用した指導がもたらす効果や影響の検証など、主に教育面、ソフト面から実証研究をする。対象とする学校は全国20校(小学校10校、中学校8校、特別支援学校2校。中学校と特別支援学校は選定中)。

 モデルとするデジタル教科書については、小学校は理科/社会、中学校は国語/数学/英語、特別支援学校は障害種別に2テーマを開発する。ネットワークでつながった1人1台のタブレットPCで、これらのデジタル教科書を使うことの効果を実証校で検証する。

 同事業は、総務省が推進する「フューチャースクール推進事業」と連携していく。フューチャースクール推進事業は、教育分野におけるICT利用を推進することを目的に、総務省が実施するプロジェクト。同省は主に技術面、ハード面から実証研究をする(参照記事)。

 概要説明の後、委員がそれぞれの立場から意見を述べた。障害を持つ児童の教育にICT活用は有効であるといった意見や、デジタル教科書、情報端末が学習や指導に与える効果・影響をどう評価するのかという問題提起があった。

 学びのイノベーション推進協議会は、安西祐一郎慶應義塾大学理工学部教授が座長を務める。委員は次の通り(五十音順)。

 安西祐一郎 慶應義塾大学理工学部教授/家本賢太郎 クララオンライン代表取締役社長/五十嵐俊子 日野市立平山小学校校長/岩崎有朋 鳥取県教育センター研修主事/大内進 国立特別支援教育総合研究所教育支援部部長/小泉力一 尚美学園大学大学院芸術情報研究科教授/高木まさき 横浜国立大学教育人間科学部教授/東原義訓 信州大学教育学部教授/堀田龍也 玉川大学教職大学院教授/三宅なほみ 東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構副機構長/村井純 慶應義塾大学環境情報学部教授/村上輝康 野村総合研究所シニア・フェロー/山本清和 日本PTA全国協議会常任幹事/阪本泰男 総務省大臣官房審議官(情報流通行政局担当)