NTT(持ち株会社)は2011年8月2日、遠隔の拠点の仮想マシンを、仮想ネットワーク経由で別の拠点の物理サーバーに移動させる遠隔ライブマイグレーションの実験に成功したと発表した。NTT武蔵野研究開発センタとNTT厚木研究開発センタに、Linuxカーネル標準のハイパーバイザー型仮想化機能であるKVMを利用してサーバー仮想化環境を構築。そこに米Nicira Networks(ニシラネットワークス)のネットワーク仮想化ソフトウエアを導入することで、煩雑なネットワーク設定をしなくても拠点間のライブマイグレーションが実現できたという。
NTTの資料によれば、Nicira Networksの技術では制御システムの指示に従って、サーバー側の仮想スイッチが仮想マシン間にトンネルを形成する(図1)。L2 over L3トンネル、つまりIPネットワーク上に形成したトンネルの中に、レイヤー2のイーサネットフレームを流す仕組みだ。ただし、トンネリングプロトコルの詳細などは公開していない。
ライブマイグレーションを利用する際には、物理スイッチなどに対して煩雑な設定が必要になることが多い。Nicira Networksの技術ではソフトウエアを使って、ライブマイグレーションに伴う拠点間のネットワーク設定の変更が容易にできたとしている。NTTは今回の実験を踏まえ、上記システムの商用サービスへの応用を検討する方針だ。
Nicira Networksは米国のスタートアップ企業で、ネットワーク仮想化ならびにその制御技術の製品を開発・提供する。国内では東京エレクトロンデバイスなどが代理店として、7月からNicira Networksのソリューションの販売を開始している。
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