写真1●NTTドコモの山田隆持社長
写真1●NTTドコモの山田隆持社長
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写真2●ARPUの推移
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写真3●スマートフォンの販売動向
写真3●スマートフォンの販売動向
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 NTTドコモは2011年7月29日、2011年度第1四半期(2011年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比3.9%減の1兆473億円、営業利益は同11.3%増の2677億円と減収増益となった。純利益は同11.7%増の1587億円である。減収は端末価格の下落による端末収入減が主な要因。好調なスマートフォン販売がパケットARPUを押し上げ、収益増に寄与した。

 同社が経営の重要指標としているのがパケットARPUの向上だ。下落傾向にある音声ARPUをパケットARPUで補い、2012年度には総合ARPUの上昇に転換することを経営目標として掲げている(関連記事)。

 第1四半期の音声ARPUは前年同期比340円減となる2340円。いわゆる分離プランである「バリュープラン」による影響で100円減。1契約者当たりの月間平均通話時間が7分間減っており、その影響で150円減という。対してパケットARPUは110円増となる2620円となった。パケットARPUの110円増は、スマートフォンで60円増、iモード端末で20円増、データ端末で30円増という比率になっているという。同社の山田隆持社長(写真1)は「パケットARPUの増加は順調な出足を見せている」という認識を示した(写真2)。

 パケットARPU増をけん引しているのが、好調なスマートフォンの販売である。第1四半期のスマートフォンの販売台数は130万台。7月28日には202万台に達したという。「昨年のスマートフォン販売台数である252万台の約半数を第1四半期で販売した」(山田社長、写真3)。内訳は、GALAXY S IIが33万台、MEDIAS WPが21万台、Xperia acroが23万台など。同社は今期のスマートフォンの販売目標を600万台としている。山田社長は「あと100万台ほど積み上げる余力はある。目標の見直しは第2四半期の段階で示したい」と語り、年間700万台販売もあり得る考えを示した。

公衆無線LANスポットは最終的に10万局に、Xiのプラン見直しも示唆

 スマートフォンの台数拡大に伴って、モバイルトラフィックも急増する。そのトラフィック対策が、全世界の携帯電話事業者の共通の課題になりつつある。ソフトバンクの孫正義社長は前日の決算会見にて、トラフィック急増に伴って将来的に定額制見直しの可能性について触れた(関連記事)。KDDIの田中孝司社長も決算会見にて、「今期末で2~3割、2015年時点では半分近くを無線LANなどにトラフィックオフロードしないと、携帯網がオーバーフローしてしまう」という見方を示している。

 この点についてNTTドコモの山田社長は、「LTEへのマイグレーション、トラフィックの動的な帯域制御、無線LANやフェムトセルへのオフロードの3点のバランスによって、トラフィックの急増に対処していきたい」という考え方を示した。

 その手段の一つ、無線LANへのオフロードについては、公衆無線LANサービスのスポット数の拡充も図る。現在、同社の公衆無線LANサービスのスポット数は約6800だが、「今後1年間で約3万くらいに増やしたい。将来的には10万スポットがターゲットになる」(山田社長)とした。実際の無線LANインフラ設営は、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)が担当し、同社との話し合いで進めたいという。

 定額制料金プランの見直しについては、既に同社はLTEサービス「Xi」において、5Gバイトを超えた場合は追加の従量課金となるプランを打ち出している(関連記事)。現在はキャンペーン期間中で実際に従量課金は適用していないが、山田社長はユーザーの要望などを聞きながらプランの見直しを進める方針を示した。

 具体的には、5Gバイトを超えた場合、現在打ち出している際限無く従量課金するプランに加え、「上限の料金を設け、その代わりに速度を落とすプランも検討する」(山田社長)とした。また従量課金となる閾値である5Gバイトの値についても、「ユーザーの利用動向を見ながら、もう少し大きな値にするか検討したい」(山田社長)と語った。なお同社としては定額制を見直すのはXiのみとし、「3Gについては完全定額制を維持したい」(山田社長)とした。

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