WOWOWは2011年7月29日、2011年度第1四半期決算説明会を開催した。会見で代表取締役社長の和崎信哉氏は、三つのハイビジョン放送開始に向けたコンテンツ展開の考え方を示した。ドラマについては、これまで放送の実績を積み重ねたサスペンスドラマや、原作のないWOWOW独自のドラマ、社会派ヒューマンドラマなどを展開していく。音楽番組については、WOWOWが独占することができて、集客力とチケットが入手しにくいものを集中的に放送していく。

 和崎氏などの説明終了後、報道陣との間で質疑応答が行われた。2011年度下半期の重点施策としては、10月から提供する三つのハイビジョン放送(「WOWOWプライム」「WOWOWライブ」「WOWOWシネマ」)の訴求を挙げた。WOWOWライブやWOWOWシネマを視聴するためには、BSの第9チャンネルを選局した後、さらに4色ボタンのいずれかを押すといった操作が必要になる。こうした選局の仕方を含めて、三つのハイビジョン放送についてのプロモーションを展開する。「テレビ放送だけでなく、雑誌なども使って相当きめ細かな対応をしていく」(和崎氏)という。

 2011年秋の自社主催イベントを、会場をインターネット上に設置してそこでテレビを見ながらインターネット上で視聴者同士がコミュニケーションをとってもらうというバーチャルなものにした理由については、「昨年、特定の場所に会場を設置して10数万人に来場してもらったが、全国からより多くの人に来てもらいたいと考えた」と説明した。 2011年10月以降、一つのチャンネルでマルチ編成放送を行って三つの番組を流すことについては、「考えていない」(和崎氏)とした。

 2011年10月から新たにBS放送へ参入する放送局が1年間無料放送を行うことについての質問には、常務取締役の橋本元氏が回答した。「新たにBSでチャンネルを立ち上げる放送局と、既にBS放送を行っている我々とでは、おのずと提示の仕方が違ってくる。我々は今年10月に開始するイベントのWOWOW大開局祭で36時間の無料放送を行って、色々な人にWOWOWを知ってもらう」とした。

 WOWOWの第1四半期の連結業績は、売上高が163億7600万円(前年同期比0.6%増)、営業利益は32億6400万円(同18.1%増)、経常利益は31億7100万円(同12%増)である。2011年10月の三つのハイビジョン放送開始に伴う費用増を考慮し販売費および一般管理費の節減に努めたことが増益に結び付いた。

 第1四半期の累計正味加入件数は237万2556 件(前年同期比3.9%減)となった。これについて代表取締役社長の和崎信哉氏は、「ほぼ計画通り」と述べた。アナログ契約終了に伴う解約件数は当初想定よりも多かったが、東日本大震災の影響による解約件数は予想を下回った。こうした見込み違いはあったが、最終的には想定内の数値に落ち着いたという。

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