FOBASコンサルティングは2011年7月29日、Amazon S3などのクラウドストレージを利用する社内ファイルサーバー製品「FOBAS Clound Storage Cache」(FOBAS CSC)を発表した。キャッシュなどの仕組みによって、クラウドストレージを高速に利用できる。データ容量などを制限した無償版を2011年7月31日に出荷するほか、2011年9月30日には有償版を出荷する。

 FOBAS CSCは、クラウドストレージを高速に使うためのデータキャッシュ製品である。社内ファイルサーバーとして動作する。ファイルにアクセスするPC(サーバー機やクライアント機)とクラウドストレージとの間に入り、データをキャッシュする。データの格納時は、ファイルを一定サイズのブロックに分割し、それぞれ複数のクラウドストレージに分散して保存する。

 キャッシュや分散保存によって、ネットワーク遅延の大きさや転送帯域の狭さなどによるファイルアクセスの遅さを低減する。データのキャッシュアルゴリズムは、最近使われていないデータを消去するLRU方式を採用。また、データの分散配置によって可用性も高まる。利用するクラウドストレージの一つがシステム停止した場合でも、冗長データを使って業務を継続できる。

 データ圧縮機能や重複排除機能も備える。これにより、クラウドストレージに保存するデータ量を削減する。重複排除のスコープは1台のFOBAS CSCが管理するファイル全体、重複排除の単位はクラウドストレージに保存する一定サイズの分割ブロックごとである。こうして、同じデータを持つブロックを二つ以上保存しないようにする。

 利用可能なクラウドストレージ(2011年7月現在)は、Amazon S3(Simple Storage Service)、Google Docs(Google Appsの利用が前提)、GmailなどのIMAPメールストレージ、の3種類。PCからアクセスする際のファイルサーバーの方式は、WebDAV、CIFS/NFS、FTPなど。FOBAS CSC(仮想アプライアンスとして実装している)の稼働環境は、VMware、Xen、KVM。

 3つのエディションを用意している。無償版の「Community Edition」は、クラウドストレージ容量が200Gバイト、キャッシュ容量が80Gバイト、ファイルサーバー・プロトコルがWebDAVのみ、サーバー仮想化ソフトがVMwareのみ、といった制約が付く。2011年7月31日に出荷する。

 有償版の「Standard Edition」と、上位版で全文検索機能やウイルス対策機能などを備えた「Enterprise Edition」は、クラウドストレージ容量とキャッシュ容量が無制限。Standard Editonの価格は19万8000円(税別)で、2011年9月30日に出荷する。Enterprise Editionの価格は49万8000円(税別)で、2012年3月31日に出荷する。