50周年感謝会で挨拶する代表取締役社長の大塚裕司氏
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創業者である相談役名誉会長の大塚実氏
創業者である相談役名誉会長の大塚実氏
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 大塚商会は2011年7月27日、創業50周年を記念した感謝会を開催。これに合わせて、創業者である相談役名誉会長の大塚実氏と代表取締役社長の大塚裕司氏が記者会見し、今後同社が目指す方向性や東日本大震災からの復興支援などについて語った。

 50年前、秋葉原の小さな事務所で創業した同社が、売上高4000億円を超える企業へと飛躍した理由について大塚名誉会長は、「病的なまでに不安感を持って、現状に満足せず、用心深くやってきたことが秘訣」と説明する。いつ新技術が登場してくるか分からないし、世界の動きを注意深く見守っていくことが大切なのだという。また大塚社長は「基本的なことをシンプルにやることが会社を強くする」と主張。電話1本で商品を届け、困った顧客がいたらそれをサポートするといった面倒見の良さが顧客の心をつかむのであって「当たり前のことをきちんとやっていく」という方向性は今後も変わらないとした。

 もちろん、原点に戻りつつも手法は変わっていくもので、ITを活用して利便性を上げながらコストを下げるような工夫は必要だという。ただし、組織や仕組みが複雑になってしまうと顧客への対応も悪くなる。そこで同社は、「組織としては昔からほとんど変えていない。それがむしろ強みで、変えなくて済むように簡素化し、大塚商会の社員であるということでシームレスに対応できるようにしている」(大塚社長)という。

 大塚社長が思い描く同社は、かつて各家庭が頼りにしていたような「街の電器屋さん」だ。テレビの購入時には、アンテナの整備から間取りに合わせた設置作業までを引き受けてくれ、家の中のことは何でも知っている電器店のように、親しみのある企業になりたいとする。専任のIT担当者がいない中小企業にとっても、頼りになるような企業を目指している。

 3月11日に発生した東日本大震災に関連して、大塚名誉会長が東京電力などの対応を厳しく批判する一幕もあった。「『想定外』という言葉が何度も出てくるのは恥ずかしいこと。全て想定の中になければ経営はできない。病的なまでに心配性であったら、福島第一原発のような問題は起きなかっただろう。津波に襲われても耐えることはできただろう。備えがなかったから『想定外』なのであり、当たり前のように『想定外』と言う感覚が信じられない。備えあれば憂いなしなのだ」。

 同社は震災直後から、サージカルマスク200万枚やLED電球2万5000個といった物資の提供をはじめ、被災したサーバーやパソコン、電話機、コピー機の代替機の貸し出しや無償修理などの支援活動を行っている。こうした支援に加えて、「中小企業のIT化を含めて、復興支援を行っていきたい。ITをうまく使えば経費が下がり、生産性が上がる。そういう面でお客様のお手伝いをしていくことが、バックグラウンドとして復興のお手伝いになるのではないか。共に成長できる基盤として考えれば、今の延長線でもお役に立てるのではないか」(大塚社長)。