ソフトバンクは2011年7月28日、2011年度第1四半期(2011年4月~6月)の決算説明会を開催した。説明会は代表取締役社長の孫正義氏らが出席した。質疑応答の主な内容は以下の通りである。

Android端末とiPhoneのどちらが帯域を使うのか。

孫氏 Android端末の方が帯域を使う。OSのバージョンアップやアプリの自動通信などが発生するためだ。最初、iPhoneの自動通信はほとんどなかった。OSのバージョンアップにしてもパソコンに接続してブロードバンド回線を使っている。我々も最初はiPhoneが自動通信する認識をしておらず、料金体系においてもiPhoneは自動通信が発生することを伝える米印のコメントも付けていなかった(関連記事)。

 現状はAndroid端末の方がネットワーク負荷は高いが、iOS5やiCloudの登場により撮影した写真をクラウドに自動アップロードするなど、自動通信する量が増えるのは間違いない。

米国などでスマートフォン向けの定額データ通信サービスを見直す動きが出ているが。

孫氏 定額はアンフェアである。上位2%のユーザーが回線の40%を専有しており、同様に上位5%のユーザーが回線の圧倒的過半数を専有している。残り98%や95%のユーザーが迷惑する。スマートフォンの料金体系については、常に検討しながら欧米を注視している。料金体系は欧米のように見直す時期が遅かれ早かれ来る。

政府から復興増税で携帯電話の電波利用料を上げるという意見が出ているが。

孫氏 よく内容を知らないが、そもそも無線のトラフィックは5年で40倍に増えている。しかし一番電波を使っているテレビ局やラジオ局、防災無線やほとんどユーザーが使っていないICタグなど非効率的に割り振られている。電波に税金をかけるならば、携帯電話だけでなく各業界に等しくかけるべきだ。

 また新しく周波数利用の許認可を受ける企業に電波オークションを実施したり税金をかけるならば、すでに相当の黄金周波数帯を得ているNTTドコモやKDDIにもイコールフッティングとして同様にかけるべきだ。チャレンジャーの立場の企業だけに不当な負荷がかかるのは疑問に感じる。

トラフィックのオフロード対策は。

孫氏 エリア拡大や混雑解消のために設備投資をする。例えば自宅の圏外率は競合が2%程度に対してソフトバンクモバイルは3%程度あり、競合より高い。これを同等程度に改善する。また混雑は公衆無線LANのアクセスポイントを増やしたり、1.5GHz帯にオフロードすることで改善する。ほとんどのAndroid端末は1.5GHz帯でも通信できるようにアンテナやチップ、フィルターを対応させている。ただしiPhoneは1.5GHz帯で通信できないため、公衆無線LANに流すか基地局数を増やすしかない。

 基地局数は昨年春に6万局だったものを今年3月末に12万局に拡大することをコミットし、実現できた。一部レピータがあるが大半が基地局である。さらに9月には14万局に増やすコミットをしていたが、これは7月に前倒しで達成できた。9月にはさらに14万より増やす。

 並行して新しい周波数である900MHz帯の許認可申請を総務省に行っている。次はソフトバンクが割り当ててもらう番だと信じている。許認可を受けられればさらに設備投資する。許認可を受けた前提だが、今年と来年で合計1兆円の設備投資をするとコミットしている。