写真1●ソフトバンクの孫正義社長
写真1●ソフトバンクの孫正義社長
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写真2●純利益でKDDIを逆転とアピール
写真2●純利益でKDDIを逆転とアピール
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写真3●データARPUでもKDDIを逆転と強調
写真3●データARPUでもKDDIを逆転と強調
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写真4●有利子負債の状況
写真4●有利子負債の状況
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 ソフトバンクは2011年7月28日、2011年度第1四半期(2011年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比9.0%増の7642億3700万円、営業利益は同12.3%増の1758億2500万円と増収増益となった。営業利益は第1四半期として6期連続の過去最高益更新となる。純利益は前年同期から4.9倍となる947億円であり、こちらも過去最高を記録した。

 増収増益は、iPhoneを中心としたスマートフォンの販売が好調だったことにより、移動体通信事業が売上高で前年同期比16.6%増、営業利益で同13.5%と好調に推移したことが寄与した。純利益については、出資先の中国レンレンがニューヨーク証券取引所に上場したことによる持ち分変動一時益として、139億円を計上したことも下支えした。同社の孫正義社長(写真1)は「営業利益に加えて、純利益でもKDDIを逆転した」と強調した(写真2)。KDDIの2011年度第1四半期の営業利益、純利益はそれぞれ1401億円、719億円である(関連記事)。

 移動体通信事業のARPUは、前年同期から80円減少となる4210円。音声ARPUは同260円減となる1780円であり、データARPUは同190円増となる2440円となった。KDDIの第1四半期のデータARPU2400円を超える値であり、ここでも孫社長は「KDDIを逆転した」と強調した(写真3)。

 有利子負債が順調に減り、今年7月に発表したボーダフォン日本法人買収資金のリファイナンスによって財務の自由度が向上していることもアピールした。有利子負債は2006年6月末のピーク時の2.4兆円から、2011年6月末に1.1兆円まで減ったという。リーマンショック時にコミットした2008年度末の1.9兆円の有利子負債を2011年度末には半減するという目標も達成できるとした(写真4)。

 リファイナンスについては、これまで加重平均の金利が約5%だったのが、約1.4%となり「金利の負担が大きく減った」(孫社長)。買収資金の支払い利息はこれまでと比べて約600億円削減可能といい、「今後は経常利益、純利益ともに増え続ける」(孫社長)とした。

「ソフトバンクは新種のモバイルインターネットカンパニー」

 決算会見の中では、最近孫社長が力を入れる自然エネルギー分野に言及する場面も目立った。ただ孫社長は「自然エネルギーは本業ではない。売上高、営業利益ともに一桁の%の下の方を占めるに過ぎず、事業に大きな影響を与えるものではない。あくまで自然エネルギーが立ち上がる呼び水役に徹する」とする。

 ではソフトバンクの本業は何かと自ら問いかけ、孫社長は「総合通信会社でもない。新種のモバイルインターネットカンパニーだ」と説明した。

 質疑応答では、急増するモバイルトラフィックに関しての指摘が相次いだ。特に米アップルがこの秋にクラウドサービス「iCloud」をスタートすると同期するデータが増え、さらなるモバイルトラフィックの増加が予想される。孫社長は「モバイルトラフィックは5年で40倍にも増えると言われている。追加の帯域の許認可も一日も早く受ける必要があるが、せいぜい10年で2倍の帯域に増える程度。急増するモバイルトラフィックは収容しきれない。設備投資を徹底的に進めるほか、なんとしても無線LANや1.5GHz帯へのオフロードを進めないといけない。ソフトバンクは日本の事業者の中で最も早くスマートフォン比率を高めたため、最初に問題に直面している」と語った。

 また欧米の通信事業者のような定額制の料金プランの見直しについても言及した。「ほんの数%のユーザーがほとんどの帯域を占めている今の状況はフェアではない。我々も欧米の事業者のような完全定額制の料金体系を見直す時期が遅かれ早かれ来るかもしれない」(孫社長)と話した。

決算資料