写真●富士通の加藤和彦CFO(最高財務責任者)
写真●富士通の加藤和彦CFO(最高財務責任者)
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 富士通は2011年7月28日、2011年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比5.8%減の9860億円、営業損益は前年同期の100億円の黒字から271億円悪化し、171億円の赤字に転落した。四半期純損益も204億円の赤字となった。東日本大震災により部材調達が難航したことなどが影響し、売上高では440億円の減収、営業損益で130億円の下押し要因となった。

 記者会見した加藤和彦CFO(最高財務責任者、写真)は「第1四半期では震災の影響が残ると考えていたため、ある意味で想定内の結果だった」と説明した。「6月の状況を見ると需要は前年並みに戻ってきている」(加藤CFO)ため、第2四半期以降は営業黒字基調に戻ると見ている。通期の業績予想は変更しない。

 最大の「テクノロジーソリューション」セグメントの売上高は、前年同期比1%減の6591億円、営業利益は同70.5%減の25億円となった。国内企業のIT投資が震災影響などで延期され、システム開発などの「サービス」事業が苦戦した一方で、ハードウエアやミドルウエアで構成する「システムプラットフォーム」事業は堅調だった。欧州では政府がIT投資予算を縮減しており、「英国でのビジネスは特に厳しい状況が続いている」と加藤CFOは説明した。

 「ユビキタスソリューション」セグメントも前年同期比で減収減益となった。PCは円高メリットを享受しコストダウンを進められたが、携帯電話では「部材を集めるのが最優先で、価格交渉がうまくできなかった」と加藤CFOは述べた。

 為替の影響も大きく受け、前年同期比で170億円の減収要因となった。「今の為替水準が長く続くとは思えず、生産拠点の移転などは考えていない」と加藤CFOは説明した。ただし、欧州については「イタリアやスペインなどでは大きな商談を抱えているので、財政問題を注視している」(加藤CFO)と懸念を示した。