2012年5月に開業する第5データセンター
2012年5月に開業する第5データセンター
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免震デバイスの一つ「積層ゴムアイソレータ」(14基使用)
免震デバイスの一つ「積層ゴムアイソレータ」(14基使用)
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免震デバイスの一つ「積層ゴム一体型U型ダンパー」(22基使用)
免震デバイスの一つ「積層ゴム一体型U型ダンパー」(22基使用)
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免震デバイスの一つ「すべり支承」(6基使用)
免震デバイスの一つ「すべり支承」(6基使用)
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鋼製耐震壁
鋼製耐震壁
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 新日鉄ソリューションズ(NSSOL)は2011年7月28日、同社が2012年5月に開業する第5データセンター(東京都三鷹市)の説明会を現地で開き、耐震性能と環境性能で最高ランクの評価を取得したことを発表した。地震による予想最大損失額(PML)は0.2と低く、環境性能効率(BEE)は4.2と高い。いずれも最高ランクという。

 第5データセンターの開発コンセプトは、災害などに対する可用性の高さと、少ないスペースで多くのサーバー機を稼働させる高密度実装である。これらを実現するため、耐震性能と環境性能を重視して設計した。具体的には、3つの免震デバイスを組み合わせた免震システムや、状況に応じて冷却装置の稼働台数を調整する仕組みなどを導入した。

 耐震性能の評価では、設計上想定した地震動(震度7クラス)における損害額を示すPML値として、ERIソリューションから「1%未満」という評価を受けた。PMLは、損害額(修復費)が建物全体の建築費に占める割合を示したもの。「PMLは0.2%で、壁が若干壊れる程度」(NSSOL)である。

 一方、環境性能の評価では、ヒューローベリタスジャパンから、エネルギ効率など建物の環境性能ランクを示すCASBEEの最高ランクである「Sランク」(効率値を示すBEE値で4.2)の認証を受けた。「(データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った)PUEは1.4以下」(NSSOL)である。

 第5データセンターの基本仕様は、以下の通り。立地は東京都三鷹市。延床面積は約1万平方メートル(1300ラック相当)。供給電力は、1ラックあたり6kVA以上と「従来の約2倍」(同社)。要請に応じて20kVAも対応可能という。耐加重は、2000kg/平方メートル。建物の1F~3Fに6つのサーバー・ルームがあり、1ルームあたり約220ラックを格納する。床下の深さは1メートル。

免震デバイスは42基、冷凍機は外気温で台数調整

 第5データセンターの特徴の一つである耐震性能は、免振システムや鋼製耐震壁などによって実現した。免震システムは、3つの異なる免震デバイスを組み合わせた。(1)積層ゴムアイソレータ×14基、(2)積層ゴム一体型U型ダンパー×22基、(3)すべり支承×6基、である。これらを地下1Fのフロアに分散配置した。

 免震システムにより、サーバー・ルームの地震応答加速度を、想定地震動(震度7クラス)の400~500galから、200gal以下に減らす。東京都三鷹市は大地震発生時の震度が6弱と予想されており、大地震発生時にも200gal以下を保つことができるとしている。

 地震波を入力して地震応答加速度をシミュレーション解析した限りでは、ほとんどの場合で200gal以下となった。例えば、阪神淡路大震災の地震波を入力すると、フロア1Fで220galを記録したものの、ほかのフロアは200gal以下だった。東日本大震災の地震波を入力すると、瞬間的(0.1秒)に200galを超えたが、それ以外は200gal以下だった。

 第5データセンターのもう一つの特徴である環境性能は、空調装置の冷却水を冷やすためのターボ冷凍機の運転台数を調整することなどによって実現した。ターボ冷凍機は全体で6台あるが、冬季などのように外気温が低い場合に、ターボ冷凍機の運転台数を減らすことで電力を下げる。