写真1●KDDIの牧俊夫執行役員商品統括本部長
写真1●KDDIの牧俊夫執行役員商品統括本部長
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写真2●KDDI 3LM Securityの管理画面。細かな設定項目が並ぶ
写真2●KDDI 3LM Securityの管理画面。細かな設定項目が並ぶ
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写真3●2タイプのプランを用意
写真3●2タイプのプランを用意
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写真4●米3LMのCEOで共同創業者のトム・モス氏
写真4●米3LMのCEOで共同創業者のトム・モス氏
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 KDDIは2011年7月28日、同社のAndroid端末を利用する法人ユーザーを対象としたセキュリティ管理サービス「KDDI 3LM Security」を8月下旬からトライアル開始すると発表した。本サービスは11月のスタートを予定している。

 KDDI 3LM Securityは、元グーグル社員が創業したセキュリティーソリューションを展開するスタートアップ企業、米3LMとの提携によって提供するサービス(関連記事)。Android OSを改修し、通常のAndroid端末ではできない細かな設定管理を実現する点が特徴となっている。

 例えば標準のAndroidでは対応していない、SDカードの暗号化、カメラやFeliCaなどの利用制限、アプリケーションのインストール制限などに対応する。この他、3LM独自のVPN機能も持ち、各アプリケーションごとの経路の選択なども可能になっている。KDDIの牧俊夫執行役員商品統括本部長(写真1)は、「KDDI 3LM Securityを利用すれば、セキュリティに不安があるAndroidでBlackBerry以上のセキュリティを確保できる」と話す(写真2)。

 サービス提供プランは、ユーザー宅内にサーバーを設置し、デバイス管理のほかVPNサービスやExchange連携ができる「アドバンスドプラン(仮称)」、専用のサーバーが不要なASP型のサービスで、VPN接続などを省いた「ベーシックプラン(仮称)」の2タイプを用意(写真3)。料金は後日発表するが、月額モデルで月数百円程度になりそうだ。

 KDDI 3LM Securityは、AndroidのOSに改良を加えるため、端末側に準備が必要になる。現時点で対応する端末は、「SIRIUS α IS06」(韓国パンテック&キュリテル製)、「G'zOne IS11CA」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ製)、「EIS01PT」(韓国パンテック&キュリテル製)の3機種。2011年秋以降は、KDDIの全Android端末に対応予定としている。

 秋には法人向け以外に、コンシューマ向けにも3LMのセキュリティサービスを展開予定という。「セキュリティパックの中の一つのコンポーネント」(牧本部長)という形の提供になりそうだ。

米国では3LM搭載Androidが「既に数百万台出荷済み」

 会見には3LMのCEOで共同創業者のトム・モス氏(写真4)も登壇し、米国での3LMのサービスの現況を説明した。同社は台湾HTC、シャープ、米モトローラモビリティ、韓国パンテック&キュリテル、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、NECカシオモバイルコミュニケーションズなど12社の端末メーカーと協業。2011年6月から米国でサービスを開始し、米国の大手携帯電話事業者4社から、3LMのフレームワークを搭載したAndroid端末が多数市場に出ているという。「既に数百万台の端末を出荷済み。年末までに数千万台になる見込み」(モスCEO)。

 大企業や政府機関など約20社とセキュリティ管理サービスのトライアルを進めており、トライアルユーザーの中には世界最大の会計事務所や政府機関が含まれるという。

 Android向けのセキュリティ管理サービスの分野では、米サイベースや米モバイルアイアンなどMDM(モバイル端末管理)ソリューションを提供するアプリケーションベンダーがしのぎを削っている。例えば米サイベースは韓国サムスンと提携し、GALAXY Sに独自のAPIを追加するなどしてAndroidのセキュリティ確保を図っている。

 こうした動きに対して、モスCEOは「できるだけ多くのプレーヤーと提携を進め、企業ユーザーが安心してAndroidを利用できる環境を作りたい。3LMはAndroid OSを作った元グーグルのエンジニアが作っているソリューションであり、機能面では競合はいない」と自信を見せた。

 なお米国ではマルチキャリアで展開しているが、日本では「当面KDDIに100%集中したい」(モスCEO)とした。

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