写真●日本ヒューレット・パッカード(HP)の有安健二 執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長 兼 クラウド事業本部長(撮影:皆木 優子)
写真●日本ヒューレット・パッカード(HP)の有安健二 執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長 兼 クラウド事業本部長(撮影:皆木 優子)
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 「当社の調査によれば、企業内のアプリのうち、2015年時点でもクラウドに乗るのは半分以下。だからこそ、最適なハイブリッド環境をどのように実現するか、という視点が欠かせない」。日本ヒューレット・パッカード(HP)の有安健二氏(執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長 兼 クラウド事業本部長)は2011年7月27日、日経BP社主催の「日経BP Cloud Days Tokyo 2011 SUMMER CONFERENCE」の講演でこう語った(写真)。

 有安氏が紹介した同社の調査によれば、2015年時点において企業内のアプリのうち、パブリッククラウドに乗るのは約19%。プライベートクラウドに乗るのは約26%。つまり、「2015年時点でも、アプリの半分以上は従来型のシステム環境の上で動いている」(有安氏)ことになる。有安氏は「ユーザー企業においては、クラウド化をどう進めるかということと、最適な形で“融合”したハイブリット環境をどのようにして実現するかが重要なテーマとなっている」と語る。

 HPではこうした事情を踏まえて、ユーザー企業に向けて四つのソリューションを用意している。(1)システム構築サービスの「CLOUDSYSTEM」、(2)システム運用管理を扱う「CLOUD SERVICE AUTOMATION」、(3)HPから各種のIaaS/PaaS/SaaSを提供する「ENTERPRISE CLOUD SERVICE」、(4)コンサルティングサービスの「CLOUD DISCOVERY WORKSHOP」である。

 (1)のCLOUDSYSTEMでは、ユーザー企業の用途やシステム規模に応じて、プライベートクラウド用のシステム製品や構築サービスを提供する。「用途に応じて最適化した製品やサービスで、ユーザー企業が保有する既存システムがスムーズにクラウドインフラに移行できるように支援していく」(有安氏)。

 日本HPはこの春に、コンテナを使ったデータセンター構築サービスの「HP POD」を、国内向け商品のラインナップに追加した。HP PODは移設可能なコンテナの中に、サーバーなどのITインフラ、電気設備、冷却設備などサーバーを稼働させるために必要な設備を一通り搭載。HPはこれを使ってデータセンターの構築を支援する。

 (2)のCLOUD SERVICE AUTOMATIONは、同社製の運用管理ソフトなどを利用しながら、ユーザー企業に合ったシステム運用管理の仕組みを用意するソリューションサービス。「プライベートクラウド、パブリッククラウド、そして既存の社内システムの区別なく、インフラを統合的に管理できるようにする」(有安氏)。

 (3)のENTERPRISE CLOUD SERVICEは、HPが保有するクラウドインフラを使って、ユーザー企業に向けてIaaS/PaaS/SaaSを提供するソリューションサービスである。

 (4)のCLOUD DISCOVERY WORKSHOPは、新システム導入のコンサルティングサービス。HPのコンサルタントとユーザー企業側のメンバーとでワークショップ形式の会議を実施し、新システムの導入計画を策定する。「顧客のニーズをくみ取りながら、クラウドインフラと既存のシステム環境がマッチするようにプランニングする」(有安氏)。