ジュピターテレコム(J:COM)は2011年7月26日、2011年度第2四半期決算説明会の中で、中期事業計画で目指す方向性について説明した。J:COMの森修一代表取締役社長は「これまで当社は単年度の予算実績の積み重ねを中心にやってきたが、今後それだけで成長を続けていくのは難しいと考えた」と、計画の狙いを説明した。一連の取り組みを通して、J:COM創立20周年となる2015年には売上高4500~5000億円、総加入世帯数450~500万世帯を目指すという。

 事業計画ではJ:COMの優位性として「地域密着」「コンテンツ」「KDDIアライアンス」の3点を挙げた。それぞれの優位性を生かした具体的な取り組みとして、「地域密着」についてはコミュニティチャンネルの強化や、地域密着生活支援サービスの提供を実施する。「コンテンツ」については、M&Aを含むコンテンツ権利元との関係強化やアグリゲーション、Over The Topを推進する。また「KDDIアライアンス」に関しては、固定電話サービスにおけるシナジーの創出、次世代セットトップ・ボックス(STB)の共同開発、ハリウッドスタジオコンテンツの調達一元化と共同配信、加入者の相互紹介などの取り組みを進める方針である。

 このほかメディア事業については、プラットフォームとしての中立性を確保しつつも自主番組制作能力の強化や独占配信権の確保など独自コンテンツを充実させる。合従連衡の推進を含む「チャンネル事業強化」、ビデオ・オンデマンド(VOD)のマルチ端末対応などによる「コンテンツ配信事業強化」、双方向型メディアの活用やイベント連動広告事業などによる「広告事業強化」を行う。そうした取り組みの結果として、マルチチャンネルオペレーターから総合メディア事業グループへの発展を目指す方針である。

 このほか、ユーザーのニーズに合わせてHFC(FTTN)とFTTHを使い分ける「J:COM FTTx戦略」といった取り組みも強化する。FTTHのインフラに関しては、自社で整備するものとKDDIから借りるものを組み合わせるという。さらにマーケット・エリアの拡大に向け、B2Bマーケットへの進出や、IP技術を利用したJ:COMサービスのエリア拡大(TV Everywhereの拡大戦略)などを進める。

 質疑応答では、ICT技術を家庭でどう活用するかという質問に対して、J:COMの大山俊介代表取締役副社長が「今後はテレビやパソコン、携帯電話機などの端末が(コンテンツ消費の)主役になる。STB単独では勝負にならない」と述べ、そうした時代には「地域の顧客と密接な接点を持ち、個々の利用シーンに合わせたフォローが可能なケーブルテレビ事業者の方が強みを生かせる」と説明した。