日本放送協会(NHK)と日本民間放送連盟は2011年7月25日、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)を除く44都道府県向けの地上アナログテレビ放送を7月24日の24時までに停波したとそれぞれ発表した。BS放送を手がけるNHKは同日にBSアナログ放送も7月24日に終了したと発表した。WOWOWも2011年7月25日、BSアナログ放送を7月24日に終了したとWebサイトで告知している。

 NHKと、民放連の会員である民放事業者は地上アナログ放送の停波に先立ち、2011年7月24日の12時に同放送の画面をブルーバックの「お知らせ画面」に全面移行した。NHKと民放連は同日の16時から、共同記者会見を開催した。

 NHKのコールセンターである「NHKアナログ放送終了お問い合わせセンター」には、7月24日の12時から20時までの8時間において、2万9200件のアナログ放送終了関連の問い合わせが寄せられたという。NHK会長の松本正之氏は、お問い合わせセンターへの入電状況について、「問い合わせ件数が増えて一時かかりにくい状態になったが、その後ほぼ対応できるようになっている。時間帯によっても変化するので、推移を見守っていきたい」と会見で述べた。

 民放連の会長である広瀬道貞氏(テレビ朝日顧問)は、2011年7月24日までに地デジ対応が間に合わなかった世帯について、総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)の支援活動などを通じて、「この1週間ぐらいで地上デジタル放送を視聴できる状態にしたい」と意欲を見せた。民放連の東北3県を除く会員社に寄せられた地上アナログ放送終了に関する問い合わせ件数は、7月24日の12時から24時までの合計で1万9761件だった。

デジタルならではの放送サービスの提供に向け取り組みを推進へ

 NHKの松本会長と民放連の広瀬会長は記者からの質問に答える形で、デジタル放送ならではの機能を活用した放送サービスの提供の現状について述べた。「デジタル放送の機能を生かした新サービスの提供に向けて勉強を進めている。今後、さらに取り組みを進めて良いサービスをお届けしたい」(松本会長)。また、広瀬会長は「デジタル放送によって双方向サービスやマルチ編成放送が可能になったが、まだ見るほうも提供するほうも成熟していないように思える。今後、デジタル放送ならではの機能を活用する土台を築いていく。そうすれば、これらをフルに活用できる時代が来るだろう」とした。

 総務省の片山善博総務大臣は2011年7月24日の総務省の会見で、「国の重要な課題として取り組んできた地上放送のデジタル移行が現実のものになる。国民の皆さんの協力に感謝したい」と述べた。さらに、地上デジタル放送受信機が家電量販店で品薄になり消費者が入手しにくくなっていることを受けて、総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)がデモ用に使っているチューナーの貸し出しサービスを全国的に行うことも報告した。地上デジタル放送受信機を一台も持っていない世帯を対象とする。地上デジタル放送受信機を購入してそれが家に届くまでの間、デジサポのチューナーを期間限定で提供する。

 これまでも一部のデジサポの職員が現場の判断で貸し出しを行うことがあったが、この取り組みを全国規模に広げる。貸し出すチューナーはデジサポがデモなどに使う特別なもので、市販チューナーとは別に製造されているため、在庫があるという。会見には平岡秀夫総務副大臣と森田高総務大臣政務官も出席し、地上放送デジタル化についてそれぞれコメントした。