米OracleでSystems部門のExecutive Vice Presidentを努めるJohn Fowler氏
米OracleでSystems部門のExecutive Vice Presidentを努めるJohn Fowler氏
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 「ユーザーの選択肢を広げるために製品を拡充している。この一方で、ハードウエア技術を生かしたアプライアンスでブレークスルーを図る」---。米Oracleでシステム事業の執行副社長を努めるJohn Fowler氏は2011年7月22日、都内の日本オラクル本社で、同社の製品戦略を説明した。データベース専用機のExadataは今後、インメモリーDB技術を統合する。

 ユーザー企業は昔から、ソフトウエア/ハードウエアともに、分野ごとに最適な製品を組み合わせるベスト・オブ・ブリードが主流。サーバーやストレージ、ミドルウエアを異なるベンダーから個別に購入し、みずから統合してきた。John Fowler氏によれば、この状況に対する米Oracleの回答は、製品ラインの拡充である。どのような需要に対してもこたえられるよう、ソフトウエア/ハードウエア製品を取り揃える。

 ベスト・オブ・ブリードの歴史の一方で、もう一つ別の動きがあるとJohn Fowler氏は指摘する。ハードウエアの技術を生かしてミドルウエアの性能を高める、統合製品のアプローチである。米Oracleは実際、データベース専用機のExadataを皮切りに、Java専用機のExalogicを出荷した。さらに、ミドルウエアを含まないサーバー機でも、ストレージやネットワークを統合したSPARC Superclusterを2011年中に出荷予定だ。

 ハードウエア技術を生かした統合サーバー製品を、米Oracleでは「Engineered System」(エンジニアード・システム)と呼んでいる。第1弾となったExadataは、ユーザー顧客数が1000に達する、最も成功したシステム事業の一つ。システム構成に趣向を凝らしてOracle Database 11gを高速に実行できるようにしたことで「DB処理能力は従来比で20倍になった」(John Fowler氏)。Exadataは今後、インメモリーDB技術を統合するという。

 SPARC Superclusterは、ミドルウエアを含まない汎用サーバー・システムとして、ネットワーク機器(InfiniBandスイッチ)とストレージ(ZFSストレージ)を統合している。アプリケーションを問わず、高速に実行できる。データベースの使い方で見れば、DWHなど参照系の用途ではExadataが、汎用の業務用途ではSPARC Superclusterが向く。

 SPARCプロセッサなどのコア技術への投資も強化する。SPARCのロードマップ上では、5年間で性能が40倍になる。2011年末に向け、現状の5倍の性能を持つSPARC T4を出荷する。「Oracle DatabaseやWebLogicを高速に動作させる専用の機構も追加する」(John Fowler氏)。ベータテスト中のSolaris 11とともに使うことで、追加製品を購入することなく標準で各種のクラウド技術を利用できるようになる。

■変更履歴
3段落目で「SPARC Superclusterを出荷している」、4段落目で「Oracle 11」としていましたが、正しくは「2011年中に出荷予定」「Oracle Database 11g」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/07/22 19:50]