日本オラクルは2011年7月21日、SaaS型CRMアプリケーションの最新版である「Oracle CRM On Demand R19」の提供を開始した。主な特徴は、(1)クライアント環境の充実、(2)マーケティング支援機能の強化、(3)画面カスタマイズ性の向上、(4)業種別テンプレートの拡充、の四つ。手薄だった機能を強化するなどの方策で、同分野で先行するセールスフォース・ドットコムなどに対抗する。

 (1)で実施したのは、日本マイクロソフトの電子メールソフト「Outlook」との連携機能の提供である。OutlookからCRM On Demandへアクセスして、データを参照・更新・作成できる。従来はOutlookで管理するスケジュールのデータを、CRM On Demandのスケジュールデータと同期できるだけだった。現時点で連携できるのはOutlook 2007と同2010。今後、「Lotus Notes」向けにも同様の機能を開発する。

 iPadの専用アプリケーションも提供を開始した。CRM On Demandへのアクセスや資料のプレゼンテーションといった基本的な機能を備える。営業担当者が顧客へ訪問したり資料を作成・ダウンロードしたりした行動履歴を、営業案件ごとに一元管理できる。

 (2)のマーケティング機能は、従来バージョンでは手薄だった分野である。新版では、電子メールを使ったマーケティング活動プロセスの定義や自動実行、結果の分析支援、営業支援機能との連携といった機能を実装した。利用者はGUIによるプロセス定義ツールを使って、見込み客データの抽出からキャンペーン用メールの作成、キャンペーンWebサイトの設定といった一連のマーケティング活動を、効率的に実施できるという。キャンペーン用Webサイトを訪れた見込み客の比率といったデータも、自動的に収集する。

 (3)の画面カスタマイズ性の向上は、「ホステッドコード」と呼ぶ機能によるものだ。標準の画面に加えて、顧客企業がHTMLやFlash、JavaScriptなどを使って、画面を独自に開発したり拡張したりできる。開発した画面のソースコードは、顧客企業が米オラクルが運営するCRM On Demandのデータセンターへ送信し、運用を委託できる。

 (4)の業種別テンプレートとして、まず保険業界向けのものを提供する。今後は自動車やハイテク、金融など、他の業種向けのテンプレートも、順次拡充していく計画だ。

 CRM On Demandの料金は、利用者1人当たり月額8560円から。対応WebブラウザーはInternet Explorer 7/8、Firefox 3.x、Safari (iPad) iOS 4.2.1。