シマンテックは2011年7月21日、事業継続計画(BCP)に関わる説明会を開催し、同社が東日本大震災の被災企業を支援して得た教訓を明らかにした。企業支援の前線に立った星野隆義システムエンジニアリング本部シニアマネージャは「仙台の小さな企業の社長に聞いた話だが、通信の復旧後すぐに企業サイトのトップページを更新したところ、それだけで業務継続に大きな効果があった」という。

 「企業サイトを更新していないと『業務どころではないのではないか』と思われ、取引先が連絡を取るのもためらってしまう。実際、被害があまりないにも関わらず資材が届かなくなり、業務継続ができなくなった企業があったという話を聞いた」(星野シニアマネージャ)。企業サイトに被災状況を掲載できた企業は、そうした状況は回避できていた。「災害時にトップページだけでも更新できる手段を確保しておいた方がいい」。

 社内システムの業務継続については、自宅や避難所からもアクセス可能なクラウドの活用を推奨した。「無理して大掛かりなアプリケーション更新をする必要はない。月末にCSV形式などでデータをエクスポートして、安価なオンラインストレージに置いておくだけでもいい。最悪、CSVデータをExcelで読み込んで、会計情報や取引先情報だけでも救い出すという方法もある。実際、それで助かったという建築事務所があった」(星野シニアマネージャ)。

 このほか、重要な情報の入ったパソコンやサーバーを「Symantec System Recovery 2011」などのバックアップソフトで、オンラインストレージやポータブルHDDにバックアップすることも勧める。オンラインストレージにバックアップしていれば、インターネット環境が復旧するとシステムのリカバリーが可能になる。ポータブルHDDならば、それだけ持って避難することが容易だ。

 ただし、どちらの場合でもリカバリー方法の周知が課題になる。「バックアップはあったものの、出社できた社員が操作方法を知らず、システムをなかなかリカバリーできなかったという話を聞いた」(星野シニアマネージャ)。簡単にまとめたリカバリ方法をシールに印刷して、ポータブルHDDに張っておくなどの工夫が必要という。