サイベースは2011年7月20日、DWH(データウエアハウス)向けRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の新版「Sybace IQ 15.3」を発表した。新たに、単一クエリーの負荷を複数のDBサーバーに分散できるようにした。2011年10月中旬に出荷する。価格は、機能に制限が無いEnterprise Editionが、1コアあたり1008万円(税別)など。

 Sybace IQは、DWH用途に特化したRDBMSである。データの更新を前提としない代わりに、データ参照時の性能と、ほかのDBMSからデータをロードする性能を高めている。最大の特徴は、データをロー(行)ではなくカラム(列)単位で管理すること。検索時に行レコードをすべて読み込む必要がないため、データI/Oが減り、高速に検索できる。集計用テーブルや検索用インデックスによるDBの肥大化も防げる。

 今回の新版では、複数のDBサーバー機を同時に使って検索処理を実行する並列処理機能を強化した。従来は、一つのクエリーを1台のDBサーバーが実行するクエリー分散型のアーキテクチャを採用していたが、今回の新版では、一つのクエリーを分割して複数のDBサーバーで分散処理できるようにした。これにより、ビジネスインテリジェンス(BI)において、これまで時間がかかっていた単一のクエリーを、より短時間で処理できるようになる。

 強化した並列処理機能の名称は「PlexQ Distributed Query Platform」。同機能を使うための前提として、Sybase IQのオプション「Sybase IQ Multiplex Grid」(DBサーバー・ノードあたり税別700万円)が必要になる。Multiplex Gridは共有ディスク型のクラスタリング・システムであり、クエリーごとに複数ノードに処理負荷を分散する。今回、これを強化した。

 Sybase IQ 15.3のエディション構成は二つ。機能に制限が無い「Enterprise Edition」(EE)と、中小規模向けに機能制限をかけて価格を抑えた「Small Business Edition」(SBE)である。EEの価格は、1コアあたり1008万円(税別)で、マルチコアCPUの種類などに応じて調整が入り、価格が下がる。一方、SBEの価格は840万円(税別)からで、利用にあたっては「1CPU(4コア)まで」「同時25接続まで」「データ量250Gバイトまで」などの制約が付く。