IBM XIV Storage System Gen3(写真左)と、XIVについて説明する、日本IBMでシステム製品事業ストレージ事業部長を務める山崎徹氏
IBM XIV Storage System Gen3(写真左)と、XIVについて説明する、日本IBMでシステム製品事業ストレージ事業部長を務める山崎徹氏
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 日本IBMは2011年7月20日、データの増加に合わせてノードを追加することで容量と性能を拡張可能な大規模ストレージの新版「IBM XIV Storage System Gen3」(XIV Gen3)を発表した。新版では、データ転送速度を実測で従来比4倍にした。2011年9月8日に出荷する。価格は、実効容量55Tバイトの最小構成で1億2155万3000円(税別)。

 XIV Gen3は、ノードを並列に追加していくことで容量と性能を拡張できる、並列分散ノード型のSAN(FC/iSCSI)ストレージである。ラック型のきょう体に、最小6~最大15ノードを搭載する(実効容量は55T~161Tバイト)。個々のノードは、それぞれディスクおよびディスク・キャッシュを独立して備えており、ノード間をインターコネクト接続する。

 容量と性能を容易に拡張できるため、データが増え続けるケースに向く。米IBMの調査によれば、企業がストレージに要求する容量は、年率で60%増える。このペースを維持すると、データ量は5年後に10倍になる(100Tバイトの場合は1049Tバイト)。ストレージの買い替えや再設計などを必要とせずに容量と性能を拡張できることに対する需要は高い、としている。

 拡張性の根拠となる仕組みは、書き込むデータを、サイズ1Mバイトの欠片(チャンク)に分割し、全ノードに分散配置するというもの。ノードを追加した時は、ほかのノードからデータがコピーされ、1ノードあたりのデータ量を平準化する。RAID構成はとらないが、データ(チャンク)のミラー・コピーを持つことで可用性を担保する。

 ラックマウント型のノードの集合体をリソース・プールとし、ここに任意のサイズのボリュームを任意の数だけ作って運用する。複数のリソース・プールを作成することも可能で、リソース・プールごとにシン・プロビジョニング機能を使うかどうかを指定できる。

 今回の新版(Gen3)では、ノードの性能向上などにより、データ転送性能を従来比で4倍に高めた。具体的には、キャッシュ容量を1.5倍に増やしたほか、インターコネクト帯域をギガビット・イーサネットからInfiniBand(20Gビット/秒)に変更した。同社による連続データ書き込み試験の結果、従来製品が1秒あたり1542Mバイトだったのに対して、新版では1秒あたり6788Mバイトに向上した。

 個々のノードの構成は、クアッドコアCPU(x86)、Linux、分散ストレージ・ソフト、ディスク12基(2TバイトSAS)、キャッシュ24Gバイト、など。2012年上半期には、現状のキャッシュ(ノードあたり24Gバイト)に加えて、SSD(ノードあたり500Gバイト)をディスク・キャッシュとして利用できるようにする。これにより、応答性能が20分の1になるという。

 なお、XIVは、もともとは米IBMが2008年に買収したイスラエルのXIV社の製品ライン。最小構成で1億円を超えるなど、製品ラインの住み分けとしては、ハイエンド・ストレージに位置する。