写真●Canonical CEO Jane Silber氏(中央)、アシスト 代表取締役 ビル・トッテン氏(右)、公開ソフトウェア推進室長 神谷昌直氏(左)
写真●Canonical CEO Jane Silber氏(中央)、アシスト 代表取締役 ビル・トッテン氏(右)、公開ソフトウェア推進室長 神谷昌直氏(左)
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 アシストは2011年内に、社内のパソコン約800台をWindowsからLinuxへ移行する。7月20日に開催したLinuxサポートサービス「Ubuntu Advantage」の記者会見で明らかにした。またアシストは社内のオフィスソフトをOpenOffice.orgからLibreOfficeに切り替えることも公表した。

 Ubuntuは英Canonicalの支援により開発されているLinuxディストリビューションで、Ubuntu Advantageは、Canonicalが提供しているサポートサービスである。アシストはCanonicalと販売契約を締結し、2011年6月から代理店としてUbuntu Advantageを日本で提供している。

 アシストは、Ubuntu Advantageの提供に際し、社内の一般業務用パソコンをすべてWindowsからUbuntuに移行する方針を決定した。「我々が使わないものを売ることはできない。モルモットとして利用し、問題を把握する」(アシスト 代表取締役 ビル・トッテン氏)。ただし、Windows用ソフトウエアのサポートなどを行っている担当者は、UbuntuとWindowsを併用する。同社の社員は約800名で、社内には約1500台のパソコンがあるが、約800台がWindowsからUbuntuに移行する見込みという。

 アシストは2007年にオープンソースのオフィスソフトであるOpenOffice.orgのサポートサービスを開始したが、その際にも社内のオフィスソフトをMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgに移行している(関連記事)。

 同社は今回、そのOpenOffice.orgをLibreOfficeに切り替えることを明らかにした。LibreOfficeは、OpenOffice.orgを開発していた米Sun Micosystemsが米Oracleに買収されたことをきっかけに、OpenOffice.orgの開発メンバーが独立して設立したDocument Foundationが開発している、OpenOffice.orgの派生ソフトウエア(関連記事)。現在、Ubuntuなどの主要Linuxディストリビューションの多くはOpenOffice.orgではなくLibreOfficeを採用している。

 トッテン氏は「OpenOffice.orgとLibreOfficeの機能面での差はほとんどないが、透明性の高さから社内ではLibreOfficeに移行する」と話す。アシストではすでにLibreOfficeのサポートサービスも開始している。

 Canonical CEOのJane Silber氏によれば、Ubuntu Advantageはすでに数千社の顧客がいるという。「それぞれの顧客が数百台のデスクトップパソコンで利用しており、中には1万台以上というケースもある」(Siber氏)。フランスの警察では約8万5000台のデスクトップで使われており、ライセンスコストなどで年間200万ユーロを削減できているという。

 また「米W3Techsなどの調査によれば、インターネットのWebサイトで採用されているLinuxディストリビューションで、UbuntuはRed Hatを上回った」(アシスト 公開ソフトウェア推進室長 神谷昌直氏)とサーバーでの採用も拡大しているという。

 アシストでは、Ubuntu Advantageの初年度の売上目標を1億円としており、数年のうちに売上5億円を目指すとしている。

■変更履歴
掲載時「オフィスソフトをOpenOffice.orgからLibreOfficeに切り替えた」としていましたが、「オフィスソフトをOpenOffice.orgからLibreOfficeに切り替える」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/07/21 19:40]