米連邦捜査局(FBI)は現地時間2011年7月19日、米eBay傘下のPayPalのWebサイトにサイバー攻撃を仕掛けた容疑で14人を逮捕したと発表した。PayPalへの攻撃は、国際的ハッカー集団「Anonymous」が犯行声明を出した攻撃群の一部である。

 Anonymousに関係すると見られる14人は、アラバマ州、アリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、コロンビア特別区、フロリダ州、マサチューセッツ州、ネバダ州、ニューメキシコ州、オハイオ州で拘束された。14人に対しては、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に起訴状が提出されている。

 PayPalへの攻撃は、2010年11月に内部告発サイト「WikiLeaks」が米政府の外交公電を公開したことに端を発している。PayPalは利用規約の「不法行為目的にサービスを利用してはならない」にWikiLeaksが違反したとして、WikiLeaksのアカウントを停止した(関連記事: PayPal、内部告発サイト「WikiLeaks」のアカウントを停止)。

 これによりWikiLeaksは世界で広く普及しているPayPalを介した寄付が受けられなくなり、Webサイト上で「PayPalの行動はWikiLeaksを経済的に窒息させようとしている」と非難した。WikiLeaksを支持するAnonymousはPayPalに分散型サービス妨害(DDoS)攻撃を仕掛け、WikiLeaks関連のサービスを停止した他企業のWebサイトも相次いで攻撃した(関連記事:WikiLeaksの支持派、WebでDDoS攻撃の目的を説明)。

 今回捕まった14人は、2010年12月6日と10日のPayPalサイト攻撃における共謀罪など複数の罪状に問われている。

 またFBIは、別のサイバー犯罪の容疑で2人を逮捕したうえ、大規模企業や組織に対するサイバー攻撃の捜査の一環として、全米で35人以上の逮捕状を出した。国外ではサイバー犯罪関連の疑いで、英国で1人、オランダで4人の身柄を拘束したことも明らかにした。

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