写真●業績立て直し策について語る日本ユニシスの黒川茂社長
写真●業績立て直し策について語る日本ユニシスの黒川茂社長
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 日本ユニシスの黒川茂社長は2011年7月19日に都内で会見を開き、低迷している業績の立て直し策について「当社が手を付けていなかった領域や顧客を、クラウドコンピューティングを活用しながら開拓していく」と語り、システム構築依存からの脱却を進めていく考えを明らかにした(写真)。

 黒川社長は1974年に前身の日本ユニバック入社からシステム構築畑を主に歩み、2011年6月に日本ユニシス初の生え抜き社長に就任した。情報サービスの現場を知る社長への期待は高いが、同社の売上高は2008年3月期の3378億円から3期連続で減収。直近の2011年3月期は2530億円にまで落ち込むなど、業績回復が喫緊の課題だ。

 黒川社長は、ここ3期の業績低迷の要因について、顧客ニーズの変化に追従できていなかったことや、リーマンショック後に企業のIT投資が鈍り競争も激化した状況下で、社員のモチベーションが落ちていた点などを挙げた。

 特に、社員の志気に関しては「現場に活力が失われている」と何回も指摘。「SE時代から現場を重視し、顧客満足度には強いこだわりを持ってきた。さっそく現場を回って顧客企業や社員とよく話したい。プロパー出身社長は初めてでもあり、現場もモノを言いやすい」と話す。顧客や社員との接触から、問題発見に務める構えだ。

 売り上げ回復を図る具体策としては、EC(電子商取引)向けシステムなど新規分野の開拓と、地方銀行など既存顧客から受注する非基幹系システムの強化を挙げた。特に地方銀行に関しては「(オープン系で自社開発したパッケージ型の)勘定系システムの商談に注力してきたが、情報系システムなど他のシステム構築案件が手付かずで相当残っている。こうした分野はクラウドで利用したいというニーズも高い」として、クラウドで新サービス開発に取り組む方針を示した。