米PTCで社長兼CEOを務めるJames E.Heppelmann氏
米PTCで社長兼CEOを務めるJames E.Heppelmann氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「製造業界はライフサイクル管理の需要が高い。今後は、組み込みソフトのライフサイクル管理も重視する」---。製造業向けソフトを手がけるPTCジャパンは2011年7月19日、製造業向け業務ソフトの動向と、同社の製品戦略について解説した。近いうちに、買収したカナダMKSのALM(アプリケーションライフサイクル管理)ソフトを、「PTC Integrity」と呼ぶ自社ブランドを冠した名称で出荷する。

 米PTCの2010年における自動車業界向け事業の成長率は、CAD(コンピュータを使った設計)とPLM(製品ライフライクル管理)を合わせた全体で28%であり、PLM単体では73%になる。PLM需要が急激に高まっている。こうした中、PTCではPLM製品の強化やPLM製品を補完する製品に注力する。

 特に、組み込みソフトの開発ライフサイクルを重視する。製造物の多くの部分を組み込みソフトがまかなう現在、ALMソフトをPLMの一部として組み入れることが重要だからだ。このための施策としてPTCは、ALMソフト「MKS Integrity」を持つカナダのMKSを2011年に入って買収している。

 現在のPTCの製品ラインは、大きく3つある。(1)PLMソフト「Windchill」(Web型で動作)、(2)3次元CADソフト「Creo」(スタンドアロンで動作)、(3)CADデータなどをベースに設計書などの文書を作成・閲覧するソフト「Arbortext」(Windchillと連携して動作)---である。これに、新たに(4)ALMソフトのMKS Integrityを加え、PLMを補完する。

 MKS Integrityは、名称をPTC Integrityに変更する。さらに、現在では専用のリポジトリサーバーが必須となっているが、これを改め、製造業の現場に合わせてスタンドアロンでも利用できるようにする。MKS Integrity自体は、あらゆるソフトウエア開発工程に適用できる汎用のALMソフトだが、もっとも需要が高い分野は製造業という。買収後も、製造業に特化して販売していく。