NHKと三菱電機は2011年7月19日、高画質のハイビジョン映像に映像関連情報を埋め込む「電子透かし」技術を共同開発したと発表した。放送用の映像に放送局名や撮影場所などの情報を短時間で付加できる。放送時の情報管理や著作権保護に役立つとする。

 今回発表した新技術では、分割処理による埋め込みアルゴリズムを採用することで、画質劣化を伴わずに、100ビット程度の情報量を短時間で埋め込むことを可能にした。従来の電子透かし技術は、圧縮した映像に対して情報を埋め込むもので、放送用の高画質映像には適用できず、また、十分な情報量を高速で埋め込むことが困難だった。

 新技術は、一般的なパソコンに搭載されているGPU(Graphics Processing Unit)を使用した場合で、埋め込み処理速度を従来技術に比べて20倍に高速化した(映像符号化処理は含まない)。さらに、検出アルゴリズムの最適化により、埋め込んだ情報の検出に必要な画像フレーム数を従来の5分の1から10分の1に削減したという。

 また、汎用的なDirectShowフィルターのライブラリ形式で提供されるため、映像伝送システムや編集装置など、さまざまな放送機器に組み込むことが可能としている。