写真1●左がJai Desai氏(Worldwide SE Manager)が、右が米StorSimpleのBill Cordero氏(VP of Worldwide Channels & Strategic Sales)
写真1●左がJai Desai氏(Worldwide SE Manager)が、右が米StorSimpleのBill Cordero氏(VP of Worldwide Channels & Strategic Sales)
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●StorSimple 5010(標準ディスク容量20Tバイト、最大ディスク容量100Tバイト)の外観
写真2●StorSimple 5010(標準ディスク容量20Tバイト、最大ディスク容量100Tバイト)の外観
[画像のクリックで拡大表示]

 「クラウドサービスと連携し、企業のストレージ管理を簡素化する」。こんなコンセプトのストレージアプライアンス製品「StorSimple アプライアンス」を開発する米StorSimpleのBill Cordero氏(VP of Worldwide Channels & Strategic Sales)、Jai Desai氏(Worldwide SE Manager)がこのほど来日、ユーザー企業が抱えるストレージの課題や同社の製品について語った(写真1)。クラウドサービスを活用した自動階層化技術によって、ストレージ管理は大きく効率化できるという。

 ユーザー企業の多くは、増大するデータの管理に頭を悩ませている。Cordero氏は、「企業のデータは年率50~60%と高い伸び率で増えており、設備投資と運用コストを増加させている。しかし、よく使うデータは一部にとどまり、その増加率も小さい。ユーザーはコストを削減できるストレージ製品を求めている」と説明する。

 同社が提供するStorSimple アプライアンスは、SSD/SASディスク/クラウドストレージサービスという3種類のストレージに、企業のデータを利用頻度などに応じて自動配置する(写真2)。Tier1からTier3の三つの階層を使い分けることで、「ユーザーは、自社内に複雑で高価なストレージ装置を大量に置く必要がなくなる」(Cordero氏)。

 Tier1はSSDで、Tier2はSASディスクで構成。StorSimple アプライアンス内ではTier1とTier2のデータを保管し、Tier3のデータを置くAmazon EC2/S3やWindows Azureといったクラウドサービスとの連携機能も備える。「企業の約10%のデータをTier1に置く。Tier1とTier2の合計で企業の約25%のデータを管理し、残りをクラウドサービスに保存する。クラウドとの連携機能により、全体を容易に管理できる」(Desai氏)。

 StorSimple アプライアンスはiSCSIインタフェースを備え、サーバーのストレージとして利用する。クラウドサービスを利用したバックアップやディザスターリカバリーといった機能も実現し、バックアップ用のテープ装置は不要だ。

 製品内ではデータをチャンクと呼ぶブロック単位(サイズは可変)で管理しており、性能とコストを最適化するように自動的にブロックを各階層のストレージへ移動する。「最もよく使用するデータはSSDに置くため、最も高速にアクセスできる。あまり使わなくなったデータはSASへ移動すし、保管だけのデータやバックアップデータはクラウドサービス上に置く」(Desai氏)。データを移動する際には、重複排除とデータ圧縮技術を利用することで保管領域の削減やデータ転送の高速化を図る。さらにクラウド上のデータは暗号化する。

 どのデータがどこにあるのかという管理情報は、クラウドにバックアップを取りながら管理している。アプライアンス製品自体を冗長化しているほか、万一ハードウエアが障害に見舞われたときも、新しい製品をネットワークにつないで、以前の構成を復元できる。別途保存した製品キーや製品の構成情報を新しい製品に設定すれば、クラウド上の管理情報やデータを使ってリカバリーする。「本社が災害に見舞われたとき、支社でデータを復元するといったディザスターリカバリーの仕組みも実現できる」(Desai氏)。

 米Microsoftのソフトウエアについては、最適化機能も搭載している。Windowsのファイルサーバー、Exchange Server、SharePoint Serverなどのストレージとしてこの製品を使うとき、アプリケーションごとにデータ配置などの最適化を行う。バックアップ機能ではアプリケーションのデータを分析して、Exchange Serverメール1通、SharePoint Server内の特定のファイルといった単位でのリカバリーが可能である。