ジェイアイエヌは2011年7月13日、都内で発表会を開催し、パソコンを使った作業向けやゴルフなどのスポーツ向けなど特定の利用目的向けに特化した機能性メガネ「JINS機能性アイウエアシリーズ」を発売することを発表した(写真1)。
発売するのは、ゴルフやサイクリングなどのスポーツ時に、それぞれのスポーツに適した使い心地や目の保護機能などを提供する「SPORTS」シリーズと、パソコンやスマートフォンなどVDT(Visual Display Terminal、表示機器)作業時に目の負担などを軽減する機能を提供する「PROTECT」シリーズという二つの製品群。両シリーズ合計で7製品を販売する。
PROTECTシリーズは、「JINS PC」と「JINS Moisture」という二つの機能性メガネをラインアップしている。「JINS PC」(写真2)は、特に最近多くの製品が出ている「LEDバックライト型の液晶モニター」で多く発生するとされているピーク波長約450nmの「青色光」(ブルーライト)を大幅にカットする機能を備えたメガネ(視力補正なし)である。
発表会では、南青山アイクリニック東京の井出武副医院長(写真3)が登壇し、青色光が人間の目に与える影響などについて説明を行った。井出氏によれば、青色光は(1)散乱しやすい、(2)瞳孔反応を誘発しやすい---などの理由により、他の色と比べて目の疲労に与える影響が大きいという。また、長時間や夜間の青色光暴露が体内時計に影響を与え、睡眠障害につながる危険などもあるとした。
JINS PCでは、伊インテルカストが開発した特殊レンズを採用し、青色光の周波数領域(380~495nm)において、約55パーセントの光量をカットできるという。ただし、闇雲に青色光をカットしてしまうと「色収差などの問題でモニター画面がまともに見えなくなる」(ジェイアイエヌ)。そこで一律にカットするのではなく、目が識別しやすい波長域の光を際立たせる工夫により、色収差を抑えた自然な見え方を実現している。
着用の効果については、南青山アイクリニック東京の井出氏が、実際にJINS PC着用の有無によるVDT作業時の目の疲労を調べた実験結果について報告していた。それによると、120分間のVDT作業をした後では、JINS PCを着用したグループの方が非着用グループと比べて目の疲労が有意に少ないという結果が得られたという(写真4)。
ジェイアイエヌ社長の田中仁氏によれば、JINS PCのこうした目の疲労軽減効果が高く評価されて、日本マイクロソフトが8月から同メガネを社内で先行導入することが決まっているという。田中氏は、「今後、企業が社員の目を守るために、同様にJINS PCを購入して支給するケースが増えていくだろう」と製品の実力に自信を見せていた。
JINS PCは10月上旬の販売開始を予定しており、価格は3990円となっている。
ドライアイ対策の保湿機構を搭載
PROTECTシリーズのもう一つの製品である「JINS Moisture」(写真5)もかなりユニークなメガネである。JINS Moistureは長時間のパソコンを使った作業などによってドライアイ(角膜乾燥症)や目の乾きに悩まされているユーザー向けの機能性メガネとなっている(視力補正も可能)。
メガネの左右フレーム部分に着脱式のウォーターポケット(水容器)があり、これに水を入れて装着することで目の周囲の湿度を適切に保つようにしている(写真6)。また、フレームのデザインにも工夫があり、目の周囲の風の流れをやわらげて乾燥を防ぐデザインになっている。
JINS Moistureは、慶應義塾大学医学部の坪田一男教授のアイデアを基に同社が開発したものだという。発表会ではその坪田教授も登壇(写真7)、パソコンやスマートフォンなどVDT作業をする時間が年々増えている現代人は約60パーセントがドライアイ症状に悩まされているとし、その対策の一つとして同メガネを使うことがいかに有効かを実際の検証結果を交えて紹介していた。
JINS MoistureもJINS PCと同様に販売開始は10月を予定、価格も同じ3990円となっている。