日本クエスト・ソフトウェアは2011年7月12日、VMware仮想マシン環境向けデータ・バックアップ・ソフトの新版「vRanger 5」を発表した。新版では、WindowsだけでなくLinuxでもファイル単位でリストアできるようにするなど、各種の機能を強化した。2011年8月1日に出荷する。開発会社は、米Quest Software。

 vRangerは、サーバー仮想化ソフトであるVMware ESX/ESXi環境向けの、データ・バックアップ・ソフトである。VMware環境下の仮想マシンを、バックアップ・データ量の削減などによって、効率よくバックアップする。提供する機能に応じて、2つのエディションを用意した。バックアップ/リストア機能に限定した「Standard Edition」と、レプリケーション機能を兼ね備えた「Pro」である。

 VMware仮想マシンのイメージを、フル/差分/増分バックアップする。特徴は、バックアップ済みのデータや、ほかの仮想マシンと共通するデータなど、重複しているデータに対するバックアップ/リストアを省略できること。これにより、これらの処理を高速に実行する。要素技術として、vRanger独自の機能や、VMwareの機能(vStorage APIやスナップショット)を利用する。

 バックアップするデータを抽出する具体的な方法は2つ。1つは、vRangerの独自機能で、バックアップ対象のディスク・イメージのうち、実際に使われているデータ・ブロックだけを抽出するActive Block Mapping(ABM)機能。もう1つは、VMware vCenterの標準機能で、仮想マシンのディスク・イメージのうち、更新ブロック情報を抽出するChange Block Tracking(CBT)機能である。この2つを組み合わせて利用する。

 新版での強化点の1つは、バックアップ・データのレポジトリに格納した全仮想イメージのカタログ情報を作成/提供するようにしたこと。これにより、大容量の仮想データの中からファイルを見つけ出してリストアすることが容易になった。リポジトリへのアクセス方法は、従来のCIFSマウントとSFTP転送に加え、NFSマウントを使えるようにした。また、WindowsだけでなくLinux仮想マシンに対しても、ファイル単位でデータをリストアできるようにした。

 新版ではまた、ネットワーク経由のバックアップに加えて、仮想アプライアンス(バックアップ・サーバー)からバックアップ対象の仮想マシンのディスク・イメージに直接アクセスするHotAddモードを追加した。これにより、バックアップにかかる時間を削減できるようになった。

 ライセンスは、VMware ESX/ESXiのCPUソケット数だけに依存し、バックアップ対象となる仮想マシンの台数は問わない。CPUソケット当たりの価格は、下位版のvRanger Standard Editionが9万8000円(税別)、上位版のvRanger Proが14万8000円(同)。