「危機にある日本は大きな転換が必要、ITでワークスタイルの変革を」---。2011年7月12日から開催されている「IT Japan 2011」で、日本マイクロソフト 代表取締役社長 樋口泰行氏(写真1)は「日本の復興と発展に向けて -ITの果たす役割-」と題し講演した。
「リーマンショック、東日本大震災、中国に抜かれGDPは世界第3位に転落」。樋口氏は、日本は未曽有の厳しい状況にあり、大きな転換が必要になっていると指摘する。内向き指向や“ガラパゴス化”を改め、“草食化”したマインドを奮い立たせ、オペレーションを世界標準に合わせて、近代化しグローバルな競争力を身につけた上で日本の持ち味プラスしなければこの日本存亡の危機を乗り越えられないと説く。そして「オペレーションの近代化を支援するのがITだ」(樋口氏)。
樋口氏は、自らが出演したビデオを上映し、日本マイクロソフトのワークスタイルを紹介した(写真2)。同社では、ユニファイドコミュニケーションを活用したテレビ会議を使って海外や遠隔地とのフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを補完。パソコンでプレゼンス(在席)情報を参照し、「連絡を取りたいことがあればすぐにIP電話で話をする」(樋口氏)という。
続いて同社のテクニカルソリューション エバンジェリスト 西脇資哲氏が、クラウド上のオフィスソフト「Office 365」による、共同作業のデモを行った。デモでは、パソコンとスレートPCで、共有したExcelファイルを編集し、変更が即座に変更される様子を実演して見せた(写真3)。
また、近く日本でも発売を予定しているWindows Phone 7の実機を披露。ソーシャルサービスを簡単に呼び出すことができる機能などを解説した(写真4)。
デモの最後に西脇氏は、「Office 365は震災の被災地でも使われている」と、仙台市などのボランティアセンターのアカウントを画面で紹介した(写真5)。
樋口氏は「日本マイクロソフトは、日本の復興・再生のために全力で取り組む」と語り、講演を締めくくった。
公開質問のコーナーでは、日経コンピュータ編集長の木村岳史から「企業のクライアントとして、私物を解禁する動きがある。日本マイクロソフトはどう考えているか」との問いかけがなされた。
樋口氏は、「この傾向は、避けられないととらえている。様々なデバイスが登場し、それらから企業システムにアクセスしたいという要望は当然高まってくる」と回答。「マイクロソフトはこのトレンドを『コンシューマライゼーションオブIT』と呼んでおり、積極的にサポートする方向で考えている。紛失や有害サイトへのアクセスといった問題はあるが、ポジティブに考えていかになければならない。例えばマイクロソフト社内ではデータをすべて暗号化してセキュリティを担保している」と、私物を含めた多様なクライアントが安全に利用できる環境を整備していく方針を表明した。