写真1●オーリッドのデジタル化サービス「オーリッドカイバー」を試してみたところ まず来訪者カードに“わざと”汚い字で記入する
写真1●オーリッドのデジタル化サービス「オーリッドカイバー」を試してみたところ まず来訪者カードに“わざと”汚い字で記入する
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写真2●試しに他社製OCRソフトにかけてみたところ 汚い手書き文字部分はまったくと言っていいほど正しい文字として認識できていない
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写真3●待つこと2分前後、正しくデジタル化されたデータがクラウド経由で送信されてきた
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 2011年7月7日から9日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された電子書籍関連の展示会イベント「第15回国際電子出版EXPO」。オーリッドの展示ブースでは、クラウドコンピューティングと人手による多重チェックを組み合わせることにより、名刺や手書き文書を100パーセントの精度でデジタルデータ化できるサービス「オーリッドカイバー」のデモを披露していた。

 オーリッドカイバーではまず、ユーザーが手書きメモやオフィス文書、会議で使ったホワイトボードなどの写真やスキャンデータを同社のクラウドに送信する。すると、(1)写真やスキャンデータをOCR(光学式文字読取装置)でデジタル化、(2)判定オペレータによるOCR結果のチェック、(3)在宅オペレータによる多段階入力、(4)センターオペレータによる最終チェック、(5)デジタルデータの納品---という5ステップでデジタルデータ化し、ユーザーに納品する。

 オーリッドによれば、100パーセントという精度を実現するために特にポイントとなるのは、(2)~(4)のステップだという。「OCRにかけた後のデータに対して、人手による多重チェックと入力を海外で行っている。ただし、日本語文書は日本人でなければチェック漏れが生じる可能性が残るので、最終的に熟練した日本人オペレータによる国内チェックを実施している」(同社)。同社ではこうした多数の人手によるチェックの仕組みを「ヒューマンクラウド」と呼んでいる。

 ビジネス文書を人手を介してデジタル化すると、個人情報や企業内部の情報漏洩が不安となる。同社では、ヒューマンクラウドの仕組みはそうした漏洩対策としても有効だという。「文書のチェックや修正の際、画像データを単体では意味をなさないバラバラな状態に分割し、複数のオペレータに振り分けている。悪意のあるオペレータが特定文書の情報をまとめて入手することは仕組み上不可能となっている」(同社)。

 展示会場では、来場者に任意の手書き文字を書いてもらい、100パーセントの精度でデジタル化できることを実際に確認させていた(写真1~3)。同社によれば、デジタルデータ化にかかる時間は、名刺1枚なら90秒程度、B6などのサイズの用紙にビッシリ書き込んだ手書きメモでも5分程度だという(ただし、ユーザーに保証する納期については「24時間以内」または「10分以内」の2種類のメニューを用意)。

 料金は、用紙サイズの制限などがない「レギュラーカイバー」サービスの場合、最も安いエコノミープランが7件350円から。文字数などに制限はなく、1枚の紙や写真を1件と数える。依頼枚数が多いユーザー向けに、会費(1カ月450円など)を支払う代わりに1枚当たりの単価が安くなったり(14件350円~)、10分以内納品のオプションを利用できるなどの特典が加わるプラン(レギュラープランおよびプレミアムプラン)も用意している。

 名刺のデジタルデータ化に特化した「カイバービジネスカード」というサービスも提供中だ。同サービスは、iPhoneやAndroid端末のカメラで名刺を撮影し、専用アプリで写真データをクラウドに送信することで手軽に名刺をデジタルデータ化できるというもの。こちらは月額料金は無料、デジタル化料金は「15枚で230円から」などとなっている。