写真●暁星小学校の岡澤氏による模擬授業
写真●暁星小学校の岡澤氏による模擬授業
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 2011年7月11日~13日に開催された「第3回教育ITソリューションEXPO」のセミナーに、暁星小学校英語科主任の岡澤永一氏が登壇した。電子ホワイトボードによる「電子黒板」を使った模擬授業付きのセミナーで、学校の先生をはじめとする来場者は、同氏が普段行っている授業の様子を体験した(写真)。

 岡澤氏の授業は、「生徒と先生の双方向性」に重点を置いたものである。例えば、「What day is today?(今日は何曜日?)」という質問から「Saturday(土曜日)」という回答を引き出し、ホワイトボードにはSaturdayのスペルをばらばらにしたアルファベットを書く。それを生徒と一緒に電子黒板上で並び変えるのだが、「d」の代わりに「p」を入れておき、ひっくり返して「d」にするなど、ジョークを取り入れたとても楽しいものだ。

 岡澤氏はよく言われる「ICT(Information and Communication Technology)」の「I」をInteractive(双方性)ととらえ、「児童と電子黒板との双方向ではなく、あくまで児童と教師の双方向性を重視してほしい」と来場者に語りかけた。

 同氏の分析では、電子黒板の効果は、児童の視線を集めることと、児童の心を「おっ」と動かせることだという。そのためには、先生の動きに合わせてフォントを動かしてみるなど、ちょっとした演出が欠かせないとする。電子黒板を使った授業で岡澤氏が心がけているのが「アナログ的な動き」だとした。

 岡澤氏によると「英語を教える先生には、英語が苦手なが多い」のだという。その多くは、発音に自信がないというものである。しかし、岡澤氏は先生のアイデア次第で、自身がそれほどしゃべらなくても済むようにできるという。

 キーワードは「配置すること」で、英語がネイティブ言語の講師などに単語などを録音してもらって教材の中に「配置」しておき、要所要所で再生して「本当の英語」を聞かせるようにすればいいという。「無理に英語だけの授業を組み立てる必要はない。45分の中に“いい英語”がどれくらいあるのか、が重要だ」(岡澤氏)。

 岡澤氏は、ICTの導入で児童の意識が劇的に変わると期待する。ただ、それは単にハードウエアを導入すればいいものではなく、先生のアイデアと熱い想いによってもたらされるものだという。同氏は「生徒の心を動かすのは先生の心。派手なものはいらない、単純なもので心は動く」と、ICT活用の授業がハードウエア偏重にならないようにとして講演を結んだ。