写真●「オープンソースソフトウェア導入実績調査」の調査結果は「OSS Databese」で公開されている
写真●「オープンソースソフトウェア導入実績調査」の調査結果は「OSS Databese」で公開されている
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 The Linux Foundationは2011年7月11日、「2010年度オープンソースソフトウェア導入実績調査」の調査結果を発表した。431種のオープンソースソフトウエア(OSS)について日本の大手SI(システムインテグレータ)での利用・検証実績を調査。「OSSはより基幹システムでの採用に軸足が移ってきている」としている。

 The Linux Foundationは、Linus Tourvalds氏がフェローとして所属するLinux推進団体。「オープンソースソフトウェア導入実績調査」は、The Linux Foundationの日本の大手SIが参加しているワークグループ「SI Forum」が行っている。2008年度から実施しており、今回の2010年度が3回目となる。2010年度の導入実績調査は、NECソフト、NTTデータ、デル、東芝ソリューション、日立製作所、日立ソリューションズ、富士通の7社が社内での利用状況を調査した。調査結果は、「OSS Databese」としてThe Linux FoundationのWebサイト上にデータベース形式で公開されている。

 SI Forumでは、Groundwork、Hinemos、Mondo Rescue、Syslog NG など、止めてはいけない基幹系システムの 運用管理や、バックアップに利用されるツールの導入実績が出てきていることなどから、「大手SI企業のOSSでのビジネス領域が従来の『エッジ系システム』から『基幹系システム』に軸足が移っている」と分析している。

 また昨年は検証段階に留まっていたApache HadoopやApache Lucene、Apache Cassabdraといった大規模データの処理・検索ツールが導入フェーズに入っていることから、OSS「ビッグデータビジネス」が立ち上がっていると指摘している。

 仮想化関連では、仮想マシンモニターのKVM、仮想マシン運用管理ツールのVirt-Managerをはじめ、仮想マシン共通APIライブラリlibvirtなどの導入実績が出てきた。

 セキュリティ関連では、昨年は検証フェーズであったウイルス対策ソフトのSpamAssassinや検証ツールのNessusが検証フェーズを終えて、実際の導入フェーズに入った。

 昨年「検証実績多数」だったIP-PBXソフトAsteriskにも大手SIでの実導入事例が出てきたという。

 SI Forumは、過去の2回の調査結果と合わせ、使い続けられているOSSツールを抽出、分析した。その結果「継続して利用されているOSSの多くには、ビジネス的にバックアップする企業や中立的な支援団体が存在する。すなわち『エコシステム』があるほど、持続性が高まる傾向がある」と指摘している。

 エコシステム形成のため、The Linux Foundationでは企業に対しコミュニティへの積極的な参加を呼びかけている。「情報を得られたり、作者に要望を伝えられるなど、企業にとってコミュニティへの参加はメリットが大きい。トヨタ自動車がThe Linux Foundationに参加した(関連記事)ように、コミュニティに参加するメリットはユーザー企業も変わらない」(The Linux Foundation ジャパンディレクタ 福安徳晃氏)。

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